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アニバーサリーイヤー 2026
今年は凄い年ですね。
ウルトラシリーズが60周年、仮面ライダーは55周年。
昭和に一時代を築いた二大ヒーローが揃ってアニバーサリーを迎えます。
ウルトラシリーズはシリーズ自体の60周年もありますが、ウルトラシリーズ第4作目である「帰ってきたウルトラマン」の55周年でもあるんですね。
(それを言い出すと、ティガが30周年、コスモスが25周年、メビウスが20周年・・・と芋づる式に出てくるんですが)
「帰ってきたウルトラマン」と「仮面ライダー」。
この2作品は、1970年代の第二次怪獣ブーム(変身ブーム)の火付け役であるという共通点もあります。
特撮の歴史を、歴史の授業のように時代区分で分けると、1960年代後半が第一次怪獣ブームだったり、1970年代前半が第二次怪獣ブームだったりと、約5年周期で切り替わっていく傾向にあるんですが、その中でも1970年代の第二次怪獣ブームは、ヒーローの商品化や多様化によって、1980年代以降の地盤が出来上がっていく面白い期間だと思っていて、個人的には非常に興味深い時代だと思っています。
この1970年代がどんな時代だったのかについて、いろいろ考察したいのですが、もう大体の情報ってネットに出そろっていますし、私個人ががんばって調べたところで既に発売されている書籍からの受け売りにしかならないので、もっとシンプルに、「帰ってきたウルトラマン」と「仮面ライダー」のエピソードを比較して、「ウルトラマンが第〇話でこんな事をやっている時に仮面ライダーはこんな事をしていた」みたいな話をまとめたいと思います。
本放送が終わってサブスクでいつでも観られるような状態になると、作品単体での良し悪ししか語る事ができませんが、現行のニチアサのリアタイでも行われているように、「仮面ライダーゼッツがこんな事をしている時にギャバンインフィニティはこんなことをしていた」みたいな、同じ時期に放送されているからこそ見えてくる共通点を探す遊びを、敢えて今やろうという事です。
第1章 1971年4月
帰ってきたウルトラマンの第1話放送日は、1971年4月2日の金曜日19:00。
対して、仮面ライダーの第1話放送日は、1971年4月3日の土曜日19:30。
このことから、帰ってきたウルトラマン放送の翌日に仮面ライダーが放送を開始したことがわかります。
言わずもがな、スタートのタイミングはほぼ同時ということです。
帰ってきたウルトラマンは、5年前に放送されたウルトラシリーズからの流れを汲む作品なので、事前の知名度も期待度も高かったかと思います。
対して仮面ライダーは、はじまったばかりの新番組なので、当時はまだ誰も知らないわけですし、どんな番組なのかもわかりません。
そんな雰囲気を前提にして、1971年4月放送のエピソードを並べてみましょう。
| 帰ってきたウルトラマン | 視聴率 | 仮面ライダー | 視聴率 | |
|---|---|---|---|---|
| 第1週 | 第1話「怪獣総進撃」 | 26.4% | 第1話「怪奇蜘蛛男」 | 関西:20.5% 関東:8.1% |
| 第2週 | 第2話「タッコング大逆襲」 | 25.1% | 第2話「恐怖蝙蝠男」 | 関西:17.1% 関東:11.7% |
| 第3週 | 第3話「恐怖の怪獣魔境」 | 22.6% | 第3話「怪人さそり男」 | 関西:17.3% 関東:10.6% |
| 第4週 | 第4話「必殺!流星キック」 | 19.8% | 第4話「人喰いサラセニアン」 | 関西:17.5% 関東:11.3% |
| 第5週 | 第5話「二大怪獣 東京を襲撃」 | 21.1% | 第5話「怪人かまきり男」 | 関西:17.6% 関東:12.4% |
「帰ってきたウルトラマン」も「仮面ライダー」も、第1話でヒーローの誕生と、その初陣を描き、続く第2話では、第1話の出来事を踏まえて基本設定を整える展開をしています。
帰ってきたウルトラマン第2話は、ウルトラマンの力を手に入れたことで増長する主人公郷秀樹の挫折からの精神的な成長。仮面ライダー第2話は、緑川博士殺害の疑いをかけられた主人公本郷猛の誤解が晴れる内容。
これによって、帰ってきたウルトラマンの郷秀樹は怪獣攻撃隊MATの正式なメンバーとなり、また仮面ライダー本郷猛は、身内の疑いを受けることなく悪の秘密結社ショッカーと戦えるようになり、本格的に物語が動き出した状態になるわけです。
前後編的な内容でありながら、独立した1話完結の物語とすることで、第1話を見逃していても楽しめる構成になっていると言えます。
興味深いのが第3話。帰ってきたウルトラマンは、MAT内でのメンバー間の軋轢、仮面ライダーは悪に魂を売ってしまったかつての親友との戦い、という具合に、両者揃ってチョット陰気臭い内容になっています。
続く第4話でウルトラマンはキングザウルスⅢ世のバリアに光線技の数々を破られ敗退、バリアを飛び越えてバリア発生器官である角を蹴り落とす流星キックを編み出します。当時流行りのスポ根(スポーツ根性モノ)の流れで、ウルトラマンも強敵に打ち勝つために特訓をするあらすじを取り入れました。
このスポ根要素は、3年後に放送される「ウルトラマンレオ」で本格化するのですが、この時点ではウルトラマンとしてはまだまだ異色作でした。
異色作と言えば仮面ライダーの第4話も同様です。第1話~第3話が主人公である本郷猛を中心とした物語であったのに対し、第4話はショッカーの魔の手によって悲劇に見舞われた姉弟を仮面ライダーが救う、というヒーロー番組としてのセオリーから外れてはいないものの、物語の焦点はゲスト人物の姉弟に当てられており、それを軸にして本郷猛が抱える改造人間としての苦悩と、それでも人類の自由の為に戦う善性を具体化した名作だと思っています。
「帰ってきたウルトラマン」の第5話は前後編。名作と名高いグドン&ツインテール編です。
時期的にはゴールデンウィークなので、大半の家族が旅行に行くであろう連休に入るタイミングで前後編をぶつけてくるのはどうなんだろう?と思いますが、当時と今ではゴールデンウィークに対する考え方が違うのかもしれません。
対する仮面ライダーの第5話は、初期エピソードにあった陰のある感じが無くなり、1話完結のヒーロー番組として実にオーソドックスなデキだと思います。視認性の悪い夜の場面は無く、暗い場面もショッカーのアジト内だけに抑えられており観やすいですし、ショッカーの作戦も人工地震で日本列島を破壊するというスケールの大きい内容で、第1話~第4話に比べると荒唐無稽さは感じるかもしれませんが、良い言い方をすればわかりやすく、万人が考える仮面ライダーのパブリックイメージに近い内容なのではないかと思います。
4月放送分は、視聴率的には「帰ってきたウルトラマン」が20%前後と善戦しているのに対して、「仮面ライダー」が関西圏で17%となかなかいい線を行っていますが、関東圏では10~12%で落ち着いており、まだまだと言った感じです。
上原正三と市川森一も、仮面ライダーのシナリオを書く予定だった?
「仮面ライダー」の第4話「人喰いサラセニアン」の脚本を担当したのは、「快獣ブースカ」や「ウルトラセブン」などの円谷プロ作品で活躍していた市川森一氏。
島田真之氏との共作ではあるものの、物語性に重きを置いた市川氏らしい作風だったと言えます。
市川氏は、「帰ってきたウルトラマン」のメインライターである上原正三氏と共に、仮面ライダーの企画会議に参加していましたが、最終的には上原氏と共に、円谷プロの「帰ってきたウルトラマン」に参加するために降板しています。
それなのに市川氏はちゃっかり第4話の脚本を執筆しているわけですが、これは第4話を担当した島田真之氏のピンチヒッター的な登板でした。
“「帰ってきたウルトラマン」参加の為に降板した”というのはWikipedia情報なんですが、twitterで検索してみると、”反戦テーマでやろうとして降ろされた”というお話も出てきます。
これの情報源がわからないので、個人的には、そういう説もあるんだなぁとしか受け入れようが無いんですが、まぁなんとなく想像はつきます。
上原氏と市川氏がこのまま仮面ライダーに参加していたらどんな風になっていたか、と想像してみるのは面白いですが、両者ともに、後の「シルバー仮面」で人間サイズの仮面ヒーローを描く事になり、これを観れば両者が仮面ライダーのシナリオを描いていたら、こうなっていたのだろうという想像はしやすいのかもしれません。
その後、市川氏は仮面ライダーに参加することはありませんでしたが、上原氏は1988年に「仮面ライダーBLACK」を、1994年に「仮面ライダーJ」のシナリオを担当することになります。しかし、仮面ライダーシリーズの長い歴史で俯瞰して考えた時に、BLACKで6本(本編5話+劇場版1本)、Jは劇場作品なので1本の、計7本しかシナリオを残していない結果から見て、上原氏がライダーに残した功績は、非常に薄いものだったのではないかと思います。
仮面ライダーに拘らなくても、上原正三が仮面ライダーを書いてたらこんな風になっていただろうな、という特撮ヒーローは沢山いるので、そんなに惜しいという感情は沸いてきませんが。
第2章 1971年5月
| 帰ってきたウルトラマン | 視聴率 | 仮面ライダー | 視聴率 | |
|---|---|---|---|---|
| 第2週 | 第6話「決戦!怪獣対マット」 | 19.4% | 第6話「死神カメレオン」 | 関西:20.5% 関東:11.7% |
| 第3週 | 第7話「怪獣レインボー作戦」 | 17.8% | 第7話「死神カメレオン決斗!万博跡」 | 関西:17.8% 関東:9.6% |
| 第4週 | 第8話「怪獣時限爆弾」 | 16.4% | 第8話「怪異!蜂女」 | 関西:20.6% 関東:12.6% |
| 第5週 | 第9話「怪獣島SOS」 | 19.2% | 第9話「恐怖コブラ男」 | 関西:21.6% 関東:14.2% |
「帰ってきたウルトラマン」と「仮面ライダー」が同時に放送を開始して早1ヶ月。「帰ってきたウルトラマン」の視聴率は、4月の時点で20%前後だったものが5月に入ると、遂に20%未満に低下。対する「仮面ライダー」は関西圏、関東圏共に、最初の数字を未だ横這いという状況。
「帰ってきたウルトラマン」の視聴率低下に関しては、双葉社の「「帰ってきたウルトラマン」の復活」に詳しく書かれていますが、MAT隊員同士の軋轢や、ミニチュアの製作費を抑えるための山中や郊外を舞台とした物語構成などが、子供に受け入れられなかったとされています。
大人の目線で観ると随所に面白く感じる「帰ってきたウルトラマン」の作風も、そういう観点で見ると不思議と地味に見えてくるもので、第7話のゴルバゴス戦は戦闘シーンはBGMが流れず、第8話のゴーストロン戦は、ゴーストロンにくっついてしまった爆弾をいかに爆発させないように戦うか、ウルトラマンが策を練っている姿ばかりが流れ、第9話のダンガー戦もクライマックスで怪獣島の火山が火花を上げて噴火する派手な演出があるものの、危機感を煽るBGMのせいでヒーロー番組としての爽快感にはイマイチ欠ける印象になってしまっており、よく出来てはいるけど今一歩・・・という感想にならざるを得ない、そんな風に見えます。
「仮面ライダー」は、「帰ってきたウルトラマン」に1週遅れて前後編の死神カメレオン編を放送。ナチスドイツの財宝を巡って、仮面ライダーとショッカーが大阪の万博跡で戦うという面白い内容ですが、森の中で緑色の体色の仮面ライダーと死神カメレオンが戦う映像は、当時のブラウン管では観ずらかったかもしれません。続いて、怪奇ムード満載の第8話、ゲストの子供を主役にした第9話、と放送していくうちに、「仮面ライダー」は次第に視聴率を伸ばしていきます。
しかし、「仮面ライダー」に詳しい皆さんは既にご存じの通り、本郷猛を演じる藤岡弘氏は、テレビ放送がはじまるよりも前に、撮影中にバイク事故を起こして入院しており、第1クールが放送されている今まさにこの間、病院のベッドに横たわっていたということです。既にこの第9話の時点で本郷猛のセリフが代役の納谷六朗氏の声で吹き替えになっていることから現場の必死の状況が垣間見え、スタッフがなんとしてでも番組を建て直そうと頭をしぼっている最中だったことが伺えます。
伊上勝がウルトラマンのシナリオを書いていた
伊上勝氏と言えば、「仮面ライダー」のメインライターで有名な脚本ですが、「仮面ライダー」に限らず、60年代のモノクロ時代のTVヒーローや、1970年代の様々な東映特撮ヒーローで活躍した売れっ子ライターです。
その脚本の面白さは、彼の息子であり、同じくシナリオライターである井上敏樹氏が、「伊上勝評伝 昭和ヒーロー像を作った男」に書いてある通り、説明的な描写を省略して面白い場面だけで畳みかける紙芝居の方法郎を取り入れた作風にあるとしています。
それがちゃんと面白い時もあれば、時たま必要な段取りだけサクサク進める節操の無い物語に仕上がるときもあり、こればかりはもう勢いの話なので、良いとも悪いとも言えないのですが、そういう作風が果たして円谷プロの、特にテーマ性を重視する橋本プロデューサーに受け入れられるのかという疑問もあったのですが、伊上氏を指名したのは、その橋本氏本人らしいですね。
もちろん、いくら伊上氏が紙芝居的方法論の作風を書くと言っても、テーマ性が全く無いというわけでもなく、後年「スーパーロボット レッドバロン」の第19話「美しき悪魔の操縦士」で見せた、心の弱さをつけこまれ、悪に手を染めてしまった女性の物語や、「大鉄人17」の第9,10話のグスタフ編のような、団地の一般人を人質に取った状態でレッドマフラー隊の隊員に秘密の自白を求める非情な駆け引きなど、見応えのあるメロドラマやサスペンスも書くこともできます。
そんな伊上氏が「帰ってきたウルトラマン」に提供したシナリオの一つ目は、「呪われた怪獣伝説」というアトランティスを滅ぼした怪獣が蘇って暴れるお話なんですが、「帰ってきたウルトラマン」の作風に合わないということでボツになり、新たに伊上氏が書いたシナリオが第9話「怪獣島SOS」というわけです。
第9話の物語は、ニューヨークからモンスターソナーを受け取って日本に帰ってくる途中の南隊員が、太平洋の島に墜落、そこで海底資源の調査グループに助けられ、異変を調査しているうちに、この島には怪獣が生息していることが判明する、というあらすじです。
「帰ってきたウルトラマン」初期エピソードにありがちな、MAT隊員同士の対立が無い、初代ウルトラマンの頃の牧歌的な雰囲気に戻ったとも言える大らかな回になっていると言えます。
通信の際にコードナンバーを使ったり、MAT本部の事を「MAT・J」と称したり、マットアローが解体整備中のため発進できない、など、組織モノの「らしさ」が随所に仕込まれた面白い回であると言えます。
双葉社の「帰ってきたウルトラマン大全」では、伊上氏が南隊員の性格設定を掴み切れていないと評されていましたが、言われないと気づかないレベルだと思いますし、南隊員特有の、郷のフォローをしがちな兄貴分的な雰囲気は失われていないので、言う程でもないかなというのが私の感想です。
また、第1クールの初期エピソードである事から、多少のキャラのブレは「こういう一面もあるんだな」で済ませられる面もあるかと思います。
どちらかと言うと、キャラがブレは後期の岸田隊員の方が凄いのですが。
第3章 1972年6月
| 帰ってきたウルトラマン | 視聴率 | 仮面ライダー | 視聴率 | |
|---|---|---|---|---|
| 第1週 | 第10話「恐竜爆破指令」 | 20.1% | 第10話「よみがえるコブラ男」 | 関西:20.8% 関東:13.1% |
| 第2週 | 第11話「毒ガス怪獣出現」 | 18.5% | 第11話「吸血怪人ゲバコンドル」 | 関西:25.2% 関東:14.3% |
| 第3週 | 第12話「怪獣シュガロンの復讐」 | 17.5% | 第12話「殺人ヤモゲラス」 | 関西:21.4% 関東:16.8% |
| 第4週 | 第13話「津波怪獣の恐怖 東京大ピンチ!」 | 18.8% | 第13話「トカゲロンと怪人大軍団」 | 関西:23.7% 関東:18.0% |
放送開始から3ヶ月目、1クールのラストスパートです。
「帰ってきたウルトラマン」は、生きていた恐竜の化石(化石怪獣ステゴン)を助けようと奮闘する子供達が登場する第10話や、自分の父親が開発した毒ガスを吐いて暴れる毒ガス怪獣モグネズンを倒そうとする岸田隊員が活躍する第11話、山奥で暮らす不思議な少女と怪獣シュガロンの関係性を描いた叙情的な第12話など、序盤の物語に比べて、MAT対怪獣ではなく個人対怪獣という具合に、人物に焦点を当てた回が増えてきた印象です。
そして、「帰ってきたウルトラマン」第1クールのトリを飾るのは、特撮スタッフが精力を上げて取り組んだ迫力の津波が描かれる第13話「津波怪獣の恐怖 東京大ピンチ!」。
画面の左端から右端にかけて叩きつけるように荒れ狂う津波と、それに飲み込まれていく建物の映像は、劇場映画さながらのスケール感と迫力です。
竜巻怪獣シーゴラスもカッコいいです。
ライオンのようなタテガミにサイのような角が生えており、1クールに登場したどの怪獣よりもとにかく強そうなビジュアルが目を惹きます。
一体この怪獣がどのようにしてウルトラマンを苦しめるのか!?と期待感が高まったところで、ウルトラマンの出番が津波を前に佇む数秒間だけで、翌週に続いてしまうので、ウルトラマンの活躍を楽しみにしていた子供達には肩透かしを食らったような回だったかもしれません。
対する「仮面ライダー」はと言うと、関西では視聴率20%越えが常態化しており、関東圏でも右肩上がりの視聴率を獲得できるようになってきていました。俗に言う変身ブームがはじまったのは14話以降、一文字隼人が登場する2号編からですが、少しずつ人気番組に成りえそうな勢いを見せ始めていたと言えます。
少し気になるのが、第11話の関西での視聴率です。
25.2%と、「仮面ライダー」1クール目の中で最も高い視聴率を記録しているわけですが、一体何があったのでしょう?
第11話「吸血怪人ゲバコンドル」は、前述の藤岡弘氏のバイク事故の影響をかなり強く受けた回で、本郷猛はモトクロス選手権の特訓と大学の研究に追われてスナックアミーゴにしばらく姿を見せていないという理由で大幅に出番を減らされ、スナックアミーゴの面々やショッカー戦闘員、今回初登場の滝和也などのサブキャラクターで物語を回しており、事情を知らない初見では不自然に映ります。
しかし、当初の「仮面ライダー」が目指していた怪奇アクションドラマという言葉が非常に良く似合うのも第11話の特徴で、街はずれの怪しい教会をはじめとした荒涼とした雰囲気や、ゲバコンドルがバレリーナを襲う場面の舞台的な演出など、「仮面ライダー」第1クールの中でも、かなり独特な世界観を持った異色中の異色作と言えます。
そして注目すべきは、第1クールのオオトリでもある第13話「トカゲロンと怪人大軍団」です。
第1クールの間に登場した全ての怪人が再登場して、仮面ライダーに集団で襲い掛かる大娯楽回です。
東映は過去にも、「キャプテンウルトラ」や「仮面の忍者赤影」などでも、過去回に登場した怪獣が復活して暴れ回る回を製作していますが、「仮面ライダー」に関しては全ての怪人が登場するわけですから、画面のインパクトも凄かったと思います。
尺の都合で、再生怪人たちはあっけなく倒されてしまうわけですが、だとしても沢山の怪人たちを一度に見ることができる興奮の方が勝ってしまいます。
この第13話で「帰ってきたウルトラマン」に匹敵する視聴率を記録して、「仮面ライダー」は第1クールを終えることができました。
交通事故と怪獣
第12話「怪獣シュガロンの復讐」は、交通事故で歩けなくなった後、懸命のリハビリで歩けるようになった少女、静香がひっそりと住む山小屋を舞台に、車のエンジン音を嫌う怪獣シュガロンが車の通り道として山中に造られたバイパスを破壊していく、というあらすじです。
物語冒頭では、交通事故で歩けなくなった静香の復讐のためにシュガロンが暴れているように思わせるミステリアスな展開を見せますが、シュガロンは山中を走る車の音を嫌って暴れていただけで、静香との直接的な関係性は無かったのではないか、という結論になっています。
これだけ見ると、ありがちなあらすじに感じますが、実は同時期に放送されていた別の特撮ヒーロー番組でも、交通事故をテーマにした回が放送されていました。
それが、ピープロダクションの製作していた「宇宙猿人ゴリ対スペクトルマン」の第23話「交通事故怪獣クルマニクラス!!」と第24話「危うし!! クルマニクラス」です。この2本は、「帰ってきたウルトラマン」の第12話が放送する寸前の6月5日と6月12日に放送されていました。
スポーツカーにひき逃げされて意識不明になった少年の怨念が怪獣クルマニクラスになって自動車(主にスポーツカー)を襲うというお話で、内容も展開も「帰ってきたウルトラマン」の第12話とはまるで違うんですが、同じく交通事故を題材にした回が、同じ時期に放送されていたというのも、不思議な縁を感じます。
ちなみに、交通事故というキーワードに焦点を当てると、「帰ってきたウルトラマン」第12話における交通事故は、静香が山奥で暮らすようになったきっかけにしかすぎず、物語においてはシュガロンが何故か静香だけを襲わないという関係性の方が重要でした。
むしろ、交通事故を扱った回としては、「宇宙猿人ゴリ対スペクトルマン」の第23,24話の方がウェイトが大きいです。轢き逃げされたスポーツカーの青年をクルマニクラスが捜しまわり、関係の無い車までも手にかけ、スポーツカーの青年の死と、スペクトルマンの説得によりクルマニクラスの怨念が消えるという形で幕引きを迎えるも、子供が犠牲になる交通事故自体が無くなったわけではなく、今日も子供たちは車を避けながら遊び回っている・・・という余韻の残るラストで、なかなかベターな終わり方でした。
偶然にしても、交通事故という題材が重なるのは何故だろうかと気になって、当時の交通事故発生件数や死亡者数、子供の割合など、いろいろ調べてみたんですが、丁度1970年から1972年の3年間にかけて、件数と死者数がピークを迎えていた時期で、なるほど交通事故を題材にして物語を作りたくなる気持ちもわかるなと納得したものです。
さいごに
いかがだったでしょうか。
「帰ってきたウルトラマン」も「仮面ライダー」も、有名なヒーローなので、一度や二度くらいは観た事のある方は沢山いるかと思いますが、こうやって、放送当時の雰囲気を感じながら観るということまでやった事がある人は、なかなかいないのではないでしょうか?
本当に放送当時の雰囲気を味わうのであれば、「仮面ライダー」の30分前に放送されていた「宇宙猿人ゴリ対スペクトルマン」についても書くべきなんですが、私がスペクトルマンをちゃんと観た事がないのと、放送開始時期が3ヶ月速いので、同時スタートの比較がやりずらく、少しとっちらかるんじゃないかと思って敢えて省いていたんですが、ちょっとクルマニクラスの事はどうしても触れたかったのでそこだけ書きました。
スペクトルマンは公害Gメンが怪獣Gメンになったり、ゴリの作戦も後半になるにつれて熾烈になってくらしいので、そういう部分を「帰ってきたウルトラマン」や「仮面ライダー」の同時期のエピソードと比較すると、また新しい発見があるかもしれません。
最初は、1つの記事で1971年4月から翌年3月まで全部書こうかと思ったんですが、想像よりも長くなってしまったので、1クール毎に区切る感じでやっていこうと思います。
次は、「仮面ライダー」に2号が登場したり、「帰ってきたウルトラマン」にはウルトラセブンや宇宙怪獣が登場するようになる第2クールのお話です。
参考資料
『円谷 THE COMPLETE』角川書店刊行
『帰ってきたウルトラマン大全』双葉社刊
『「帰ってきたウルトラマン」の復活』双葉社刊
『仮面ライダー大全』双葉社
『伊上勝評伝 昭和ヒーロー像を作った男』 徳間書店刊
『泣き虫プロデューサーの遺言状~TVヒーローと歩んだ50年~』講談社刊
『Wikipedia』

