第3話「白い顔」

商社ビルのフロアで、ライターを点けようとした男性会社員が人体発火を起こして炎上する事件が発生。
検証の結果、犠牲になった男性会社員のライターにはレーザー光線によって開けられたと思われる小さな穴があることが明らかになった。
SRIは、男性会社員が死の直前に声をかけていたOL、水上順子に何かしらの因縁があるのではと、調査の為に箱根の別荘に飛ぶ。
そこには、過去の事故で顔面に負ったヤケドを隠すために、頭部を包帯で隠した男、水上幸一郎がいた。
水上幸一郎は、愛娘である純子を独占するため、自ら発明したレーザー光線銃を使って、声をかけた男性や恋人を次々に殺害していた。
・・・・というのが第3話のあらすじ。
タイトルの白い顔というのは、顔を包帯で隠した水上幸一郎の事を指すと同時に、幸一郎がレーザー光線による殺人を働くときに身に着けていた仮面の事を指します。
本放送は1968年9月29日。
脚本は、第2話を担当した金城哲夫氏の書いたものを、第1話を担当した上原正三氏が清書した共作となっています。監督は、第1話を担当した飯島敏宏氏です。
物語
今回は、怪奇大作戦にしてはかなりシンプルでおとなしい印象があります。
科学を使った犯罪と、犯罪者の心の闇を描いているという構造は第1話「壁ぬけ男」と似ていますが、白い顔の男(水上幸一郎)が、ただ邪魔な人を殺害しているだけなので、凶器がレーザー光線銃じゃなくて、ただの猟銃とかだったら、普通の刑事ドラマだなぁ、と感じました。
これについては「『怪奇大作戦』の挑戦」で白石雅彦氏も触れているんですが、
残念ながら「白い顔」は、ストーリー的にも、トリック的にも、ビジュアル的にも語るべきものがないとしか言いようがない。
と結構ボロクソな評価をされています。
流石にそれほど酷い内容ではないと思うのですが、じゃあ、どこがよいのか?と聞かれると突出して良い回でも無いよなぁ、と思ってしまうので白石氏の評論は妥当だったのかなと感じます。
でも、決してつまらないというわけでもなく、登場人物の愛憎を、あまり複雑化しないバランスで、エンタメとして無難にまとめている印象はあるので、「怪奇大作戦ってどんな作品なんだろう?」という人に対するとっかかりとしては丁度いいんじゃないかなと思います。(まだ3話しか観ていないので、この意見が妥当なのかは自信が無いですが)
前番組のウルトラセブンを引き合いに出して例えるなら、「超兵器R1号」や「ノンマルトの使者」みたいな一部の名作の評判だけ聞いてウルトラセブンを観てみたら「水中からの挑戦」や「恐怖の超猿人」みたいな凡作に当たって拍子抜けしちゃったみたいな感じだと思います。
一部の良回のために名作扱いされるセブンの身にもなって欲しいですよ。
白い顔の男
水上順子の関係者が怪死する度に事件現場に現れる謎の男。
その正体は前述の通り、順子の父親である水上幸一郎です。
顔に火傷を負っているため、常に包帯を巻いた姿で生活しており、ショッキングな見た目をしていますが、その穏やかな語り口から不思議と不気味さは感じません。
しかし、火傷を負った後に妻に逃げられた過去があるため、素顔を見られたら娘にも嫌われてしまうという疑いを抱いており、人前で決して包帯を外そうとはしません。
最愛の娘である順子を独占したいがために、順子に言い寄る男性を次々にレーザー光線で殺害します。その時に、包帯の上から黒髪のカツラと白い仮面を被る事で別人になりすますのですが、映像中では仮面の姿ではなく、白い塗料を塗った生身の人間の顔で登場します。
演出としてやっているのか、仮面自体が生身の顔のように見える素材で作られているのか、その辺りの設定は定かではありませんが、非常に不気味です。
レーザー工学の科学者ですが、遠距離から人間が持っているライターにレーザー光線を命中させるなど、射撃能力が高すぎるのが不思議です。
ラストは神奈川県警に逮捕されますが、包帯の下にある火傷を負った顔を見られてもなお、自分の事を父親として愛してくれる順子を抱きしめて涙するラストは、怪奇大作戦の悪役の中でも恵まれていると言えるのではないでしょうか。
特撮
今回は、冒頭の人体発火事件、車の転落事故、モーターボートの爆発炎上、ラストの屋敷の火災と、4種類の炎を駆使した特撮が楽しめます。
冒頭の人体発火は、炎の色が鮮やかで、かなりキレイに処理されているのですが、肝心の燃えている人が動かないのでちょっと不自然に感じました。当然ですが、もがき苦しんでしまうと、動きに合わせて炎を合成しないといけなくなるので仕方がないでしょう。
車の転落事故やモーターボートの炎上シーンも、気合が入っています。
車の転落事故はガードレールを突き破った時点で車が燃え始めて違和感があるんですが、凶器がレーザー銃なのでガソリンタンクを狙撃でもされたのでしょう。
少しボヤけた色合いが、朝霧の実景を見ているようでとてもリアルです。
モーターボートの炎上はちょっとやりすぎなんじゃないかと思います。
湖の側の森で乗り物が炎上するというシチュエーションは、ウルトラマン第1話の竜ヶ森のようですね。
水辺特有の、妙に湿気た空気感の再現が見事です。
ラストの屋敷の火災は、レーザー銃を撃とうとした幸一郎を止めようと、順子が割って入った衝撃で機材が爆発して火事になるという、ちょっと強引な展開なんですが、実によく燃えます。
怪奇大作戦では、ドラマに密着した特撮を志して作られているので、ちょっとした出来事でも特撮で表現する節があるんですが、今回はそれがより顕著だと言えるでしょう。
まとめ
非常にオーソドックスな回です。
怪奇大作戦にしては普通のドラマに近いので先入観も無く、観やすい内容なんですが、やはり白石雅彦氏の言うとおり語るべきところがないのは確かです。
悪くないけどパッとしないんです。
でも、メロドラマとしては丁度良いです。
3話まで観てみたところで思うのは、SRIという組織が見た目のカッコ良さの割にパッとしないところですね。科学トリックを推理したり、科学犯罪に体当たりで立ち向かっていくところは勿論クールでかっこいいんですが、刑事ドラマで言うところの犯人逮捕みたいな激しい格闘が無く、淡々と物語が進行していく感じがします。でも、特別機動捜査隊
多分、格闘シーンとかを入れてしまうとウルトラマンやウルトラセブンの二の舞になってしまうので、ちょっと2~3発殴ってダウンするくらいのシンプルな雰囲気にしているんでしょうけど、そのせいで折角のトータス号もSRIジャケットも、なんでわざわざそんなものが用意してあるのかと疑問に感じてしまいます。
SRIジャケットは特殊繊維でできていてどんな攻撃にもびくともしない設定らしいんですが、それこそ今回の、小さな傷口だけで対象を殺害できるようなレーザー銃をまともに喰らっても傷一つなくて、白い顔の男が怯むとか、そういう展開もやれたんじゃないかな、って思ってしまうんですよ。
そりゃ、ネロンガの放電攻撃を胸筋で受け止めるウルトラマンみたいな事はしなくていいんですけど、ちょっとくらいかっこいいヒーローとしてのSRIも見てみたかったなぁと思います。
そういえば、今回はエンディングが印象的でしたね。
ケーキに突っ込んで顔が真っ白になった次郎君が両手で顔をぬぐうと、映像が白い仮面に切り替わってエンディングテーマがはじまります。
エンディング映像には白い仮面が映り続けるのですが、ライティングを変えていく事によって、仮面が笑っているように見えたり、もの悲しい表情をしているように見えたりと、非常に凝ったものになっています。
人は人間関係の中で、本音を偽ったり、TPOに合わせたりと、精神的な仮面を被って生きていますが、本心を隠すその仮面ですらもいろいろな表情を持っているという事を物語るかのような、非常に印象的な映像でした。
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