第4話「恐怖の電話」

電話で通話中の男が突如身体から火を放ち焼死する事件が発生。
SRIが調査するが原因はわからず。
牧は、事件の手がかりを掴むため、事件の唯一の目撃者であり、被害者の娘である滝口令子に迫る。
そんな折、同様の手口で第二の犠牲者が出てしまう。
調査を続ける中で、牧は電話に超音波を発生させる仕掛けがあることを察知。
また同時に、三沢は被害者の交友関係をあたり、犠牲者たちがかつて太平洋戦争中に出兵していた事、事件の数日前に戦友会で集まっていた事を知る。
その裏には、彼らが小笠原諸島に隠していた財宝の存在が隠れていた。
・・・・というのが第4話のあらすじ。
本放送は1968年10月6日。
脚本は、「ウルトラマン」や「ウルトラセブン」で異色作を担当した佐々木守氏。監督は、同じく「ウルトラマン」「ウルトラセブン」で佐々木守脚本回を担当した実相寺昭雄氏です。
物語
今回は、かなり現実の延長線上にあるというか、科学トリック自体もそこまで大袈裟なものではないのですが、だからといって一般ドラマかと言われるとそうとも言い切れない、独特の不思議な空気感でした。
電話で通話している相手に超音波で人体発火を起こさせる、というのは平成のジャパニーズホラー的であり、怖いと言えば怖いのですが、トリックがある以上、ジャパニーズホラー特有の不可解な死とは言い切れないところがあり、怪奇性は薄いと感じました。
終始、薄暗い映像の中で、鬱蒼とした、ピリついた人間模様の中で、物語が淡々と進んでいく様子は、なんとも言い難い雰囲気を放っています。
一般的に、というより特撮オタクの間では、実相寺昭雄監督作品は、名作とされる傾向にありますが、今回はとにかく地味です。地味と言っても、つまらないとか、イマイチな出来栄えというわけでもなく、ありのままの現実の中にSRIが入ってきているような、そういう意味での地味さです。
現実だからドラマチックではない、ということです。
むしろ、「警察24時」のように視聴者の興味を煽る場面解説のナレーションが入れると、やっとエンタメとして成立するんじゃないかという感じです。
この第4話は、地味さを狙って出しているとも言えます。
その地味さに拍車をかけるのが、BGMです。
今回、OPとED以外にBGMはありません。
冒頭の現場検証の場面でピアノ音楽が流れていますが、これはBGMというよりは限りなく現実音楽に近いと言えるでしょう。
映像も妙な余白が目立ちます。
登場人物を映すときも、中央に寄せずに、映る範囲を画面の半分以下にして、その余白には、街の景色だったり室内の壁だったりと、当然ながら背景が映っているわけですが、それによってSRIというフィクションの登場人物たちが、現実という箱庭の中に押し込められているかのような窮屈さを感じます。
画面の構図的には窮屈どころかスペースが空いているのに、ですね。
そして感情が薄い。
令子も度々ショックで気絶したり、悲鳴を上げたり、三沢も牧の強引なやり方に感情的になったりと、要所要所で爆発することはあるんですが、やはり、どうしても物語を進めるためのスイッチとしての役割しか無いように見えて、何かこう、心に来るものが無いんです。
牧の冷たいやり口も、電柱に昇ったりマンホールに潜ったりとストイックに捜査を進めていく行動も、視聴者が入り込む余地が無く、どちらかと言えば、マンホールの周りに群がって「おじさんなにやってるの?」と聞いてくる子供達の方に思わず共感してしまうくらいです。
徹底してドラマとしての娯楽性を廃し、ただただ登場人物たちが事件を解決するために行動する、その場の空気感を映していると言えるのが、この第4話なのかもしれません。
恐怖の電話
今回の事件の凶器です。
送信側の受話器に専用の機材を装着することで、受信側に超音波を送り加熱させることで、人体発火に近い現象を作り出すことができる代物です。
実現可能かどうかに目を瞑れば、これまでのエピソードに登場するどの科学トリックよりも現実的に感じます。
それゆえに、どうしても地味に見えてしまいます。
特撮
今回は特撮は控えめ。
冒頭の滝口の人体発火、たばこ屋での水野の人体発火などで、合成が行われているくらいです。
人が燃えるという要素は、前回第3話の「白い顔」にも同様の場面がありますが、炎が青色をしているところにある種の異常さを感じ、ショック度を高めていると言えます。
水野が焼死する場面では、倒れ込む水野に合成されている炎が追従する凝った映像になっており、座り込んでうずくまる第3話よりは良かったんじゃないかと思います。
しかも今回は、合成だけでなく、実際に人形を燃やす映像も入れることで、余計に生々しい表現になっています。
あと、強いて言えば、サイケデリックな時計の映像でしょうか。
ラスト、小川時計店に、犯人が超音波を送った時に、周囲の時計が誤作動する場面があるんですが、ここで歪んだ時計の映像が入ります。
特撮は少なく、映像も薄暗い画面が続く中で、ここだけ唯一非現実的な映像になるので、一気にフィクションの世界に引きずり込まれる感覚があり、よいアクセントだと感じました。
まとめ
内容だけ見れば怪奇大作戦としては普通なのですが、やはり映像的表現は異色です。
当初の予定ではこの「恐怖の電話」が第1話候補だったようですが、これは基本設定を知らない状態で観ても、いきなり怪奇大作戦の世界に放り込まれて、登場人物たちがなんかやってる光景を見せつけられている感じになるので、第1話じゃなくてよかったと思います。
やはり、サブだからこそ輝く回だと思います。
まだ第4話なのでなんとも言えませんが、話の分類的には第2話「人喰い蛾」に近いですね。
犯行の動機が、「壁抜け男」における賞賛への渇望や、「白い顔」のような愛憎とは異なり、小笠原に隠した財宝を独り占めしたいというシンプルな欲望から来ており、前述の2作のように、犯人に対する同情的な感情が湧いてきません。
事件を捜査・解決するSRIの活躍に焦点を絞った物語だったと言えます。
そういう見方をすると、ヒロイックな回のようにも感じますが、捜査をストイックに進める牧にしても、その牧に反発しながら令子を守ろうとする三沢にしても、派手な活躍をしないので、サクセスストーリーとも言い難いです。
不思議な回ですね。
ちょっと脱線して、SRIのガジェットに注目してみると、今回も同様の感想というか、まずSRIジャケットが役に立っていません。
三沢が銃撃を受ける際、弾が脚に当たるので、まるで意味をなしません。
かといって、SRIジャケットに命中して、ビクともしませんでした、というのは今回の作風的に興ざめしてしまうので、難しいところです。
トータス号は、今回も映像の中に登場していますが、ラストのカーチェイスには参加していません。
車高が低すぎて他のパトカーと並走していても映らないし、むしろ悪目立ちしてしまいますね。
それに、あのカーチェイスは、犯人の自滅を描くためのものであるので、トータス号を映している場合ではありません。
いつか、これらが活躍する回があるのでしょうか?
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