【書籍レビュー】5月に読んだ本まとめ

【書籍レビュー】5月に読んだ本まとめ

2025年6月3日

はじめに

読書メーターを初めて早3ヶ月。

5月も沢山の本を読みました。

5月の読書メーター
読んだ本の数:11
読んだページ数:2417
ナイス数:4

月初に連休があったので、集中して読むことができたのもよかったです。

それぞれの本の感想は、読書メーターの感想機能に投稿した通りですが、これらをまとめながら1ヶ月間を振り返ってみたいと思います。

もうお気づきかと思いますが、細字が読書メーターから出力した文章で、太字が今回の記事で追記した文章です。

ただ読書メーターから持ってくるだけでは面白くないのでいろいろ追記してみました。

なんでこんな本を読んでいるのか心境とかがわかってもらえたらいいな、と思います。

①「ウルトラQ」の誕生 著:白石 雅彦



「ウルトラQ」の誕生「ウルトラQ」の誕生感想
ウルトラQの企画から放送までの流れをまとめた一冊。最初期の企画段階の部分は、まだウルトラシリーズですらないので読み進めるのに少し苦しいが、怪獣モノの方向性が決まったあたりからは実際に放送された内容と初期稿の差異についての解説が増えて面白くなってくる。スタッフの入れ替わりや試行錯誤の形跡など、生みの苦しみと同時に楽しさも伝わってきて60年も前の話なのにリアルな空気感が伝わってくるかのようだった。ただし、情報量が多いのでウルトラQや円谷プロに関する前提知識はかなり必要。
読了日:05月01日 著者:白石 雅彦

5~6年くらい前に古本屋で見かけてなんとなく購入した物をやっと読み終わりました。

この本に続く「「ウルトラマン」の飛翔」や「「ウルトラセブン」の帰還」など、一連のドキュメンタリーシリーズは価格の割に情報量が濃くてかなり読み応えがあります。

一生大事にしたい本ですし、ウルトラQが凄く好きな人にはまず間違いなくオススメできる本です。

②世界樹の迷宮2~六花の少女 上巻 作:FLIPFLOPs


世界樹の迷宮2~六花の少女 上巻 (IDコミックス REXコミックス)世界樹の迷宮2~六花の少女 上巻 (IDコミックス REXコミックス)感想
世界樹の迷宮特有のキャラクターの可愛さと緻密な背景の両立が再現できている他、映像として表現されない個々のスキルの描写や、街の人々との関係性もよく描かれており、プレイヤーの想像している世界観から逸脱しない安心感がある。各キャラクターのバックボーンもしっかり設定されており、少ない話数でも感情移入しやすい構成になっているのは凄いと思う。ゲーム本編と合わせて楽しみたい一冊。
読了日:05月04日 著者:アトラス

ニンテンドーDSソフト「世界樹の迷宮II 諸王の聖杯」のコミカライズです。

この世界樹の迷宮Ⅱ自体が17年前のゲームソフトですが、つい2~3年前にニンテンドースイッチでⅠ~Ⅲがセットになったリマスター版が発売されていたので、ギリギリ新しいとも言えなくもないです。

当時はクリアできないくせに物凄いハマって資料集やサントラまで集めたものですが、今はもう音楽を聴く事も本を開くこともなくなってしまいました。

③開運レッスン (カリスマの言葉シリーズ # 7)  著:ゲッターズ飯田


開運レッスン開運レッスン感想
良くも悪くも人情的・道徳的な内容。YouTubeの占い動画で理路整然と話をされている飯田さん特有の具体性は無いです。恐らく、飯田さんの事をよく知らない新規ユーザーに興味を持ってもらうための入門書のような役割を担っているかと考えます。飯田さんの熱心なファンの方は今更購入する必要は無いかと思います。ページ数に対して文字数も少ないのでサクッと読めるところはよかったです。
読了日:05月06日 著者:ゲッターズ飯田

家族がよくゲッターズ飯田さんの動画を観ていて本も持っていたのでなんとなく読んでみました。

ページ数的にもスグ読めそうだなと思って。

ゲッターズ飯田さんと言えば、YouTube動画でも具体的にこうすればよいああすればよいと説明してくれる印象があって、わかりやすいなぁと思っているのですが、この本は内容が当たり障りなくて、飯田さんらしさをあまり感じませんでした。

amazonの中古価格もかなり安いので、「まぁ、こんなもんか・・・」という印象の本です。

④不滅のヒーロー 仮面ライダー伝説 著:岡 謙二


不滅のヒーロー 仮面ライダー伝説不滅のヒーロー 仮面ライダー伝説感想
仮面ライダーと言うよりは、それらを演じた俳優陣の取材を兼ねた同窓会とでも言うべき内容。全てのライダー俳優に、当時の想い出話と、その後の苦労話、そしてこれからの人生の展望を訪ねていく流れは美しさすら感じる。1999年に発売された本なので、現在では既に古い情報ではあるものの、俳優陣のその時点での雰囲気がわかるので貴重だと言える。現在はメディア露出も多いアマゾン役岡崎徹氏もこの本の発売時点では消息不明だった。
読了日:05月07日 著者:岡 謙二

シン・仮面ライダーが上映した時に仮面ライダーの関連書籍を読み漁りたくて購入したものです。

1999年の2月発売なので、仮面ライダークウガが放送する1年前の本ということになります。

著者は、この本が発行されてから、ちょっと経つと新しい仮面ライダーのTVシリーズがはじまるなんて予想だにせず書いていたのかもしれませんが、ものの見事に昭和ライダーの事しか書かれていません。

1号からZXまでの10人ライダーがメインで、BLACKからJに至るまでの昭和末期~平成初期のライダーは作品紹介としてちょこっと書いてあるだけで、キャストインタビューはありません。

この本、ちょっと面白いのが、仮面ライダー放送当時に起こった出来事をまとめているページがあって、実際に起こった出来事の中に、仮面ライダーの劇中で起こった出来事が、さも本当に起こったかのようなテイで書かれていて、読んでいてワクワクしました。

仮面ライダーの劇中で起こった出来事と実際に起こった出来事はわかるように記述されているんですが、流し読みしていると、どっちがどっちだかわからなくなってきます。

デパート火災とか物価上昇とか書いてあると、いかにもショッカーが起こしてる事件のような感じがする反面、実際にはそんなエピソードは無いので「そんな回あったかなぁ」と首をかしげたりして、現実とフィクションの境界面が曖昧になる独特の感覚が面白かったです。

私の幼少期に放送していた特撮ヒーローでも、劇中の出来事と現実の世界で起こった出来事を並べて検証したりしてみたいと思いました。

⑤博士の愛したDT 著:谷口つばさ


博士の愛したDT博士の愛したDT感想
YouTubeバキ童チャンネルの成り立ちや、バキ童(ぐんぴぃ)ほかピーター博士らの生い立ちを書いた一冊。YouTubeの動画では見ることのできない葛藤が印象的に描かれていることと、それらがかなり簡潔に書かれていることで非常に読むのが面白い本だった。内容が内容なので、何も知らない人が興味本位でバキ童入門編として読むものではなく、バキ童チャンネルを日常的に見ているファンのための本である。
読了日:05月11日 著者:谷口 つばさ

バキ童チャンネルはすごい好きで、家族と揃って観ています。

仲間たちでふざけたりする動画もあれば、アニメやゲームなどオタクよりのメディアを楽しむ回もありますが、世代的に近いので楽しんでいるものが割と似ているんです。

ぐんぴぃ(バキ童)は陰キャだし、相方の土岡も元ニートというところで、人生の寄り道や遠回りが長かったと思うので、そういう部分も共感しやすくて面白く感じるのかもしれません。

ぐんぴぃは豪快な印象を感じる見た目の割に、かなり理知的な考え方をしていて、自分が何を考えているかを具体的に言語化できるので、そういう人の内面が谷口さんの執筆とはいえ文章化されているというのはよかったです。

⑥だめ連の資本主義よりたのしく生きる 著:神長恒一、ペペ長谷川


だめ連の資本主義よりたのしく生きるだめ連の資本主義よりたのしく生きる感想
オルタナティブな生き方を推奨する"だめ連"の皆様の対談をまとめた一冊。政治的な話やデモの話もあり、少し過激で危なっかしい印象を持ってしまうが、資本主義に反対して何も無いなりに楽しく生きていく姿は会社に組み込まれた社会人からすると新鮮である。その根幹には、社会に属すことができない層や無縁社会への救済的な側面もあり、ある種の受け皿とも言える。
読了日:05月13日 著者:神長恒一,ペペ長谷川

思想の強い話になりますが、私は若者が社会的に孤立することをなんとかしたいと常日頃考えています。

そんなことを言いながら、特に何かしてるわけじゃなくて、本当にただ思っているだけなんですが。

でも、この感情を発露したかったので読んだのが、この”だめ連”の本だったわけです。

著者が、社会制度を利用して上手に生きてるタイプの人だったので、サラリーマン向けというわけではありませんでしたが、そう思ってしまうのは、私が割かしサラリーマンとして働けてるからであって、働けない人の目線を持った方が書いてる本も読んでおいてよかったと思います。

そういえば、つい先日、名古屋で”ねそべりフェス”なんてイベントが開催されていて、その会場にこの本を執筆しただめ連の方々も来ていましたね。

スケジュールの都合で私は行く事ができませんでしたが、興味はありました。

⑦ドラえもん 0巻 著:藤子・F・ 不二雄 


ドラえもん 0巻 (0巻) (てんとう虫コミックス)ドラえもん 0巻 (0巻) (てんとう虫コミックス)感想
幼年誌や学年誌に掲載された第一話がまとめられた一冊。ドラえもんがのび太の家にやってくるというあらすじは同じながら、学年ごとに物語の密度や人物描写の複雑さが調整されており、非常に勉強になる。巻末には藤子・F・不二雄が主人公のドラえもん誕生秘話や、解説などもあり、小さな本であるものの充実した内容。ただし、ファンブックの域を出ていないので、純粋に物語としてドラえもんを楽しみたい人には不向きかもしれない。
読了日:05月17日 著者:藤子・F・ 不二雄

家にあったので読みました。

詳しいことは前述の感想で書いてある通りですが、読む年齢層に応じて話の複雑さが変わってくるのが面白かったです。

幼年誌や学年誌に掲載されたマンガが書籍化されるケースってそうそう無いですから、貴重な資料だと思います。

⑧ウルトラマンと戦後サブカルチャーの風景 著:福嶋 亮大


ウルトラマンと戦後サブカルチャーの風景ウルトラマンと戦後サブカルチャーの風景感想
ウルトラマンと戦後サブカルチャーという題名に留まらず、戦前から現代にいたるまでの、ありとあらゆる映像作品(映画、テレビ、アニメ)に関する歴史を俯瞰した内容となっていた。膨大な参考書籍の数々に圧倒され、非常に読み応えはあるが、その反面、専門的になりすぎている感もあり、かなりの前提知識が必要かと思う。前述の事もあり、ウルトラマン目当てで読む人には期待外れかもしれないが、ウルトラマンのルーツや他作品に与えた影響など、前後の時系列をこれ一冊である程度把握することができると考えれば非常にオススメ。
読了日:05月20日 著者:福嶋亮大

5月に読んだ本の中では最高の本だったと思います。

表紙がウルトラマンのソフビ人形だったので、特撮番組が怪獣人形の玩具展開や怪獣図鑑などの書籍展開していく過程を解説した本だと思ってましたが、特撮史を戦前から現代まで幅広く俯瞰する内容で、かなり楽しめました。

私に見つける嗅覚が無いだけなのかもしれませんが、戦前の特撮について書かれた書籍って案外無いので、記述されてるだけで貴重です。

あ~、ごめんなさい、多分、初代ゴジラとか円谷英二の解説本を読めば必然的に戦前の特撮についても書いてあるかもしれません。純粋に私の守備範囲がウルトラマンに寄りすぎているだけですね、きっと。

本の構成的に、ウルトラマンについて解説してから戦前の解説をしたり、枝葉の解説をしたりと時系列の順番になっていないのは気になる人がいるかもしれませんが、こんな本を読むような人は、多少時系列が飛んでも自分の脳内にある年表に落とし込める人がほとんどだと思うので、大丈夫でしょう。

⑨生きさせろ! 難民化する若者たち 著:雨宮 処凛


生きさせろ! 難民化する若者たち生きさせろ! 難民化する若者たち感想
今から20年近く前の本だが、書かれている内容は他人事ではない。正社員になれないフリーター、過労自殺する若者など、読み進めていくほどに社会への怒りが湧き上がってくるかのような熱量のある文章だ。本書を偏った内容だと評価する人もいる。確かに、行政にも企業にも事情がある事を考慮しなくてはならないのは確かだが、それでも一介のフリーターや社員の方が立場的に弱いのは明らかなのだから、そういう人達に寄り添った内容で然るべきではないだろうか。とにかくとても衝撃的な本であり、想像以上に素晴らしい一冊であった。
読了日:05月26日 著者:雨宮 処凛

これも前述の⑥で書いたように、現代の若者の境遇を知りたいと思って読んだ本です。

タイトルが難民化ですからね。

世の中には社会の中で誰にも頼ることができず悩んで、誰にも知られる事無く亡くなっていく若者が沢山いると思っていますが、この感情の根拠が無くて、私が勝手にそう思ってるだけなので、もうちょっとちゃんと世の中を知るために、このような本を読んでいるわけです。

この本は2007年に発行された本です。

2007年と言えば、私が高校を卒業して新卒で就職した年なので、そういう意味でも個人的には凄い節目の年でした。そしてその1年後にはリーマンショックが起こって、世の中の雰囲気が変わったのを覚えていますが、リーマンショック以前から若者の働く環境が非常に危ういものであるということを思い知りました。

これは労働環境が最悪な職場をピックアップして書いていますが、現実的には働く事も無くニートしている若者もいたりして、一概に全ての若者が劣悪な環境に置かれているかと言えばそうでもないんですが、なんとかならないだろうかと悶々と考えたりしています。

繰り返しになりますが、考えてるだけで何かしてるわけではないです。

⑩「非モテ」からはじめる男性学 著:西井 開


「非モテ」からはじめる男性学 (集英社新書)「非モテ」からはじめる男性学 (集英社新書)感想
非モテ男性の境遇や心理を章別に切り分け、順序立てて分析しており、わかりやすい。読者が非モテ男性であれば共感もしやすいのではないだろうか。本の主題としては、非モテを脱する事ではなく、より深く知っていく事なので、現状を解決するような内容ではないものの、自己受容に繋がると思うので、有益な内容であると言える。話題を発展させて、チー牛や非モテ女性について書かれた本も読んでみたい。
読了日:05月28日 著者:西井 開

私には野望があります。

それは、チー牛を救いたいという野望です。

ええ、もちろん、前述の通り、考えてるだけで何かやってるわけではないんですが、マインド的にはチー牛を救うことができたら世の中は豊かになるんじゃないかと考えています。

でも、非モテとチー牛って似てるようで違うカテゴリーの類だと思うので、この本を読んでもチー牛は救えないかもしれません。

⑪国家の品格 著:藤原 正彦


国家の品格 (新潮新書 141)国家の品格 (新潮新書 141)感想
現代の教育や国際化に警鐘を鳴らし、民族の誇りを説く一冊。諸外国に対して批判的な文章が目立つものの、他国の文化や国民性は尊重した上でどちらかと言えば公平に書かれている印象がある。言い方次第で如何様にもできてしまう論理よりも情緒を重んじ、日本人の感性に真摯に向き合う姿勢が全体から感じられ、意気高くなる内容だった。御託を並べず、有無を言わさずに「駄目なものは駄目」と言える真っ直ぐな気持ちを身につけたい。
読了日:05月30日 著者:藤原 正彦

読書メーター

これも良い本でした。

5月の最後に読んだ本でしたが、1ヶ月の終わりを飾るには素晴らしすぎる一冊です。

私は政治には疎いし、どちらかと言えば、世の中の事を考える前に自分の身の回りの事を考えているだけで一生を終えそうな感じなんですが、肌感覚で「このままだと日本は消滅してしまうんじゃないか?」という焦燥感にかられています。

だからこそ、前述で言うところの⑥とか⑨とか⑩の本を読んだりするわけなんですけど、この本には日本の魂が込められていて、大変感動しました。

結構過激な事が書かれていますが、すごいざっくり言うと「ヘタに国際化とかしてないで、まずは自国の文化を大切にしなさい」みたいな事を言っています。

いやぁ、もうその通りです。

この本には、日本人が持っている情緒について解説がされています。

外国人が聴いても雑音にしか聴こえない虫の音が、日本人には風情あるものに聴こえたり、そういう自然の営みを理解して想いを馳せることが”情緒”らしいです。(適当に説明してるので本の文章とは乖離しているかもしれません)

“情緒”。

素晴らしいですね。

恥ずかしながら、日本人を30年以上やっていながら、この情緒が身に着いたのはつい最近です。

旅行に行って写真を撮ったり動画を撮ったりして、やっと「自然っていいなぁ」と思う感性が芽生えてきて、短歌や俳句の良さみたいなものが理解できました。

興味のある分野では無いので、多分、この先の人生で深堀したりはしないかもしれませんが、短い詩の中に込められた感情は、おそらく自分の中にもあったのかもしれません。

この”情緒”を育んで、これからの人生を豊かにしていきたいですね。

さいごに

沢山読みました。

5月は結構面白い本に出合えて大満足の読書ライフだったと思います。

6月も面白い本に出合える事を願って、積ん読を読み進めていきたいと思います。