魔法戦隊マジレンジャーを20年振りに振り返る

魔法戦隊マジレンジャーを20年振りに振り返る

2025年2月12日

はじめに

魔法戦隊マジレンジャーは、2005年に放送されたスーパー戦隊シリーズの29作目です。地上侵攻を企む地底冥府インフェルシアと戦う5人の魔法使いの物語です。

マジレンジャーは5人兄弟。それぞれ、得意な魔法を使ってインフェルシアの冥獣と戦うのですが、魔法を用いた、なんでもありの自由な発想で繰り出されるアクションシーンは観ていて楽しい映像に仕上がっていました。

マジレンジャー20周年

仮面ライダー響鬼の20周年に引き続き、マジレンジャーも初回放送から20年が経ってしまいました。

マジレンジャーも仮面ライダー響鬼と同様に、私が特撮ヒーローのリアルタイム視聴を再開した記念的な作品で、戦隊復帰第1号と言えます。

私が幼少期を過ごした平成初期は仮面ライダーのTVシリーズが放送していなかったので、小学6年生の時に観た仮面ライダークウガが初めてリアルタイムで観た仮面ライダーでしたが、スーパー戦隊は途切れる事無く放送していたので、久しぶりの戦隊視聴と言うことになります。

直撃世代のジュウレンジャー〜オーレンジャーまではリアルタイムで楽しんだものの、カーレンジャーの途中からはTVを点けた時にやってたら観るくらいの感覚だったので、自分の中の「戦隊はこんな番組」みたいな認識は平成初期で止まっており、最初はマジレンジャーのノリ(2000年代の戦隊のノリ)に付いて行けず困惑した記憶があります。

なんだかすごいキラキラしてましたね。

作風の問題じゃなくて、主演俳優さんの平均年齢が下がって初々しさが出ていたんでしょうね。

マジレンジャーの物語

マジレンジャーは、兄弟5人で力を合わせて困難を切り抜けていく話です。

それを言い出すと他の戦隊も同じと言えば同じなんですが、やはり家族なので、メンバーの距離感が近いというのが大きな特徴です。

兄弟戦隊と言えば、過去作でも地球戦隊ファイブマンや救急戦隊ゴーゴーファイブなど前例があるものの、ファイブマンもゴーゴーファイブも、メンバーが職業を持った一人前の大人だったこともあり、落ち着いた印象がありました。

その点、高校生や大学生など成人前のメンバーが多いマジレンジャーは良い意味での子供っぽさ、楽しさが強調されていたような気がします。

兄弟で力を合わせる事がテーマなので、戦隊特有の、その回だけのゲストキャラクターが出てきて悩みを解決する、みたいな話はあまり無く、兄弟5人だけで話が展開していました。

日常パートにおけるセミレギュラーも、マジレッドにガールフレンドの山崎さんが用意されているくらいで、近所のおばさんとか学校の同級生とか、そういうタイプのキャラクターは全然いなかったですね。

マジレッドが入部しているサッカー部も、劇場版で試合をしている描写があるくらいで、部員同士のやりとりも無かった記憶があります。

5人兄弟ということで同じ家に住んでいるのに、魔法部屋にいる事の方が多くて、キッチンや自室など普段の暮らしが描かれるのは却って珍しいくらいでした。

マジレンジャーは度々厳しい状況に立たされる印象にある戦隊でもありました。

第2話で母親マジマザーが死に、第4話でマジキングへの合体呪文を取得したのも束の間、第6話でウルザードに合体呪文を封じ込められてしまい、第12話まで合体できない状態が続きました。

かと思えば、第16話、第17話の前後編ではまだまだ物語前半にもかかわらず地上に冥府門が出現して地上侵攻の危機に陥るなど、かなり密度の濃い展開でした。

そして、物語後半には冥府十神と呼ばれる幹部クラスの悪役が一斉に登場。圧倒的な強さで、毎回のようにマジレンジャーはメンバーの誰かが戦闘に参加できない状況での戦いを強いられるなど、ハラハラしてばかりの目が離せない内容でした。

ここまで追い込まれた戦隊は他に無いんじゃないかと思うくらいですが、これが逆に戦隊ヒーローというジャンルでは上手く作用していたと思います。

5人で戦うことがスタンダードだと思う戦隊ヒーローにおいて、メンバーの誰かが欠けた状態での戦いは劣勢に陥っている事が極めてわかりやすいですし、その分、主役のメンバーにフォーカスが当たりやすくなり、また、ピンチを切り抜けて再び全員揃ったときの気分の安心感も通常のエピソード以上です。

戦隊ヒーローというフォーマットが確立された番組だからこそ、通常フォーマットから外れた展開をやり続けることで面白くなった良い例だと思います。

変身ヒーローとしてのマジレンジャー

マジレンジャーをはじめて見たのは、放送前のイラストでした。

5人のデザイン画を並べて集合した絵のように見せていたものです。

絵だと立体感が無いので、第一印象はあまり良くなかったですが、映像で実際に動いているところを観ると、一瞬で気持ちが変わりました。

魔法を使った戦いも面白かったです。

ゴレンジャーのゴレンジャーハリケーンやカクレンジャーの忍法のようになんでもアリというわけではなく、それぞれ得意分野が違っており、レッドは物体を作り変えて物を作り出す魔法、イエローは魔法薬の調合、ピンクは変身能力など、各々、自分の使える魔法に制約はあるものの、それらを活用して全力を尽くすのが見ていてとても楽しいところです。

物語後半では強化形態のレジェンドマジレンジャーも登場しました。

胴体に鎧が付いて、ヘルメット部分に各メンバーのモチーフになっている生き物の意匠が付くというデザインです。

通常形態で印象的なマントが無くなってしまうので当時は微妙に思いましたが、活躍シーンを観てるとそういうデザイン面での細かい事はどうでもよくなりますね。

原始の魔法ということで、放送当時の時点でもかなり旧式の電話だったダイヤル式電話をモチーフにしたダイヤルロッドという魔法の杖で戦うのですが、これがまたものすごいカッコイイです。

ボタンの組み合わせでいろいろな呪文を操れるマージフォンに比べると、5つの魔法しか使うことができないので、ボリュームダウンしてる感が当時はあったのですが、考え直してみると、かなり厳選された強力な魔法が使えるという見方もできるので、これはこれでアリだなと思います。

私が幼少期に観てた戦隊はロボットこそパワーアップするにしても、戦隊メンバー自身のパワーアップなんて無かったので、強化形態が出てくるという展開自体にものすごいビックリしました。

戦隊メンバー全員のパワーアップと言えば、1990年のファイブマンでファイブテクターが、1998年のギンガマンで獣装光ギンガマンが・・・と、過去の戦隊でもたまにありましたが、2005年のデカレンジャーのスワットモード、2006年のマジレンジャーでレジェンドマジレンジャーと連続で続いてからは、2~3年に1回くらいの周期で登場するようになりましたね。

番組によって、5人全員がパワーアップする戦隊もあれば、その回の主役がパワーアップする戦隊、レッドだけパワーアップする戦隊など、いろいろバリエーションがありますね。

巨大ロボ

マジレンジャーはロボットも面白かったです。

五人が巨大化したマジマジンが合体するマジキングは、DX玩具の合体ギミックも良く凝っており、マジドラゴン形態は胴体の重量感と翼のボリュームのおかげでとにかく大迫力の傑作商品だと思っています。

続いて登場するライバルロボ、ウルカイザーもよくできていました。

バリキオンから人型に変形するギミックは勿論のこと、マジフェニックスと合体してファイヤーカイザーにすることもできるなど、プレイバリューもバツグンでした。

好きすぎてイラストも描きました。

残念なのは、劇中で2回くらいしか出てきていないことですね。

マジレンジャーはロボ描写に不満は無いのですが、玩具ギミックの劇中再現をあまりやらなかったので、そういう意味ではロボ販促が弱かったかもしれないと思います。

マジキングの胴体にウルザードが合体したり、トラベリオンの胴体をマジキングやウルカイザーに取りつけたり、その逆もできるなど、連動ギミックが沢山あったので、できることなら劇中でもやって欲しかったなと思います。

敵キャラクター 地底冥府インフェルシア

ファンタジー世界のモンスターがモチーフです。

これまでの戦隊だと、1年間に登場する怪人の中で何匹か空想上の動物が混じっていることがありましたが、明確にファンタジーモンスターで一貫していたのはマジレンジャー、ジュウレンジャー、リュウソウジャーくらいですよね。

この三作品は西洋風ファンタジー戦隊という部分で共通点がありますが、ファンタジー物にも時代の遷移があるので、その都度モチーフになるモンスターの特徴も変わってくるのが面白いです。

ジュウレンジャーに登場するドーラモンスターが、西洋の言い伝えに出てくるような魔物モチーフであるのに対して、マジレンジャーは割とTVゲームに出てきそうなモンスターが多かった印象があります。

最初は暴れまわるだけの冥獣というカテゴリーでしたが、物語の途中から知性を持ち対話ができる冥獣人という新しいカテゴリーの怪人も登場しました。

アニメ的なかっこいいシルエットに、ゲーム的な細かいディテールの組み合わさった面白いデザインの冥獣や冥獣人が多かった印象があります。

魔法戦隊マジレンジャーは何をくれたのか?

20周年ということでマジレンジャーについて、いろいろと想うところ書いてみましたが、意外にも自分にとって思いの外、大きな存在だということがわかりました。

今まではスーパー戦隊シリーズの視聴を再開した時に放送していた番組、という認識でしかありませんでしたが、2025年の今に至るまで戦隊シリーズを観続けることになるきっかけでもあるので、人生における大きなターニングポイントだったと言っても過言ではありません。

気づけば、自分が生まれてからマジレンジャーが放送を開始するまでの時間よりも、マジレンジャーが終わってから今日にいたるまでの時間の方が長いですからね。

感慨深いです。

それから、これは本当に個人的な感覚の話ではあるんですが、前述の通りマジレンジャーは、私の戦隊復帰第1号の作品です。

それと同時に、誰かにとっては幼少期の戦隊デビュー作でもあるわけです。

ある日、丁度自分よりも10歳年下の人と話す機会があって、ひょんな事から特撮ヒーローの話になりました。

当時、自分が30歳の時で、相手は20歳です。

「自分はマジレンジャー観てました」

勿論、本人は何気なく言っただけなんですけど、私にとっては凄い衝撃的でした。

マジレンジャーは自分が高校生の頃に放送していた番組です。

ですが、10歳年下のその人にとっては小さいころに観ていた憧れのヒーローなわけです。

当然、歳が違えば観ている番組も違うというのは当然なのですが、彼のその一言だけで、自分が高校生の頃に放送していた番組を観て育った世代が世の中に出て活躍しているんだ、というのを実感したというか、時代が移り変わって行っている事を思い知ったと言うか。

なんだかすごく嬉しくなってしまって。

このままの調子で、現行戦隊を観て育った世代が大人になって世の中で活躍する姿を見てみたいと思いました。

なんていうか、そういう年下の人たちに対して応援したくなる気持ちを教えてくれたのは間違いなくマジレンジャーのおかげです。

そういう意味では、マジレンジャーは幼少期の戦隊がくれたものとは違ったものを残してくれた戦隊だと思っています。