これまで、「毎日特撮健康生活」と称して2月18日から4月20日まで59日間連続でブログを毎日更新していましたが、先日体調を崩してしまい、ちょっとお休みしていました。
今回は5日ぶりの更新になるんですが、初心に帰って大好きなウルトラシリーズである「ウルトラマンタロウ」の第48話について書こうと思います。
目次
第48話「日本の童謡から 怪獣ひなまつり」

本放送は1974年3月1日ですが、私は1993年のBS放送で、この回を観ました。
父親が映画好きで、WOWOW等の衛星放送を契約していたのですが、そのおこぼれで特撮番組や特撮映画を観ることができたわけです。
父親は沢山の映画をVHSに記録しており、中学生や高校生の頃は父親の部屋の押し入れを物色して怪獣映画を発掘したりしていたのですが、「宇宙大怪獣ドゴラ」や「妖星ゴラス」などの、主要な怪獣映画から外れたマイナー特撮映画までVHSで保存されており、レンタルビデオに行かなくてもマイナー映画が観られるという、今考えるとものすごい恵まれた環境にいた事を思い出すとともに、父親って結構律義だったんだなぁと改めて思いました。
私も高校生になって自分でスカパー放送を契約したりDVD-Rに録画する機能を覚えたら似たような事をしていたので血は争えませんけどね。
とは言っても、父親が特撮オタクだったのかと言うと別にそんな事は無く、ただ映画が好きで保存していただけだったので、公開当時の思い出話が聞けたとか、そういうのは無かったです。
その後、気がついたら父親のVHSは処分されており、観ようと思っていたドゴラやゴラス、その他数多くの、おそらく保存されていたであろう特撮映画たちは私の目に触れる事無く消え去っていきました。
当時は、あのVHSを確保しておけば・・・と悔やんだものですが、現代は動画配信サービスでそのほとんどを観ることができるので、本当に良い時代になったと思います。
さて、ウルトラマンタロウの話に戻りましょう。
前述の通り、私がこのタロウ第48話を観たのは、BS放送だったわけですが、第1話から順番に観ていたわけではなく、たまたま初めて観た回がこの回でした。
幼稚園児なので、番組表をチェックして能動的に観たとかそんな訳ではなく、親が「ウルトラマン好きだし録画しておけば観るだろう」という気遣いで録画したものを観たという感じです。
平成初期はウルトラシリーズのTVシリーズが放送されておらず、朝の5分番組である「ウルトラマンM730 ウルトラ怪獣攻げき技大図鑑」や本とおもちゃでしかウルトラマンに触れた事が無かったので、ちゃんとした30分番組でウルトラマンを観ることができて、とても嬉しかった事を覚えています。
ZATのメカが次々に現れて、基地から発進するOP映像もとてもカッコイイです。
1:34~ ひなまつりに付き合わされる太郎君
本編開始から、とある一般家庭のひなまつりの風景が流れます。
姉二人のひなまつりに付き合わされる太郎君が今回の物語の主人公なのですが、なんと太郎君、着物を着せられておめかしされています。
つまり女装ですね。令和の現代だったら、女装男子とか男の娘とか言って、サブカルの1ジャンルを築いていますけど、タロウ放送当時は歌舞伎の女形だとか、お笑い芸人のコントのネタでもない限りは一般には受け入れられないものだったかと思います。
姉二人と一緒にひなまつりの歌に合わせて踊っているところを、窓から一部始終を見ていた同級生にからかわれ、怒りに燃えて戸棚の工具箱からスパナを取り出して家の外に駆け出して行く、という今考えるとギャグ漫画かと思うくらい物騒な展開です。
スパナを取り出した瞬間にカメラがスパナに向かってズームするところも、この攻撃性を引き立てています。
姉二人の「乱暴しちゃだめよ」という言葉に躊躇いを感じたのか、太郎君はスパナで殴り掛からず、ヤケクソになって山本リンダの「狙いうち」を踊りだします。
これにはさっきまで太郎君をからかっていた同級生たちも思わず楽しそうに見とれてしまい、うまく場がおさまったというか、堂々と踊る弟の姿に姉二人もお見事とばかりに拍手を送ります。
私はこの回がウルトラマンタロウとのファーストコンタクトなので、子供心に「なんじゃこりゃ」と思いながら観ていました。タロウを毎週のように観ていれば、たまにこういう回が混じっていても「今回はこういう回なんだなぁ」で流せるのかもしれませんすが、初めて観たのがこれだと「ウルトラマンタロウってなんなんだ?」という疑問の方が先に来てしまいます。
しかし、この山本リンダの「狙いうち」は久しぶりに聴くとなかなかカッコイイ曲ですね。
私は当時の世代では無いので、この歌がどんな風に人気だったのかは全然わかりませんが、ウルトラマンタロウの劇中歌として使われた歌という事もあって、非常に馴染みのある曲だと思っています。
4:22~ 東光太郎登場
太郎君と同級生のやり取りを遠くに眺めながら、ZAT専用車が画面外からインします。
ここで登場する専用車は赤色なんですが、当初は緑色だったというのを後か知って驚いた記憶があります。
タロウを1話から順番に視聴した人はどう感じているのかわかりませんが、私はZAT専用車と言えば今でも赤色のイメージが強いです。
そして、ZAT専用車の窓から顔を出す東光太郎。
そう、ウルトラマンタロウに変身する人です。
別に窓から顔を出さなくてもフロントガラスから見えると思うんですが、こうやって窓から顔を出す仕草がカッコイイんです。
光太郎は、同級生にからかわれた事を悔しがる太郎君に寄り添って励ましの言葉を送りますが、この一連のやりとりがカッコ良すぎて、私は一瞬で東光太郎に一目惚れしました。
明るく爽やかで子供に優しい東光太郎が、僅か4歳だった私の心に「大きくなったら東光太郎になりたい!!」と思わせてくれるくらいには、超理想の大人像だったわけです。
この気持ちは正直なところ、いい歳になった今でも忘れた事はありませんが、歳をとればとる度に東光太郎とはかけ離れた大人になっていく自分を痛感せざるを得ず、悲しくなります。
当時は幼稚園児だったので、この時、光太郎が太郎君に向かって何を話していたのかはビデオで何回観直してもわかりませんでしたが、後年改めてこの回を観たときに凄くイイコトを言っていました。
「おんなじタロウなんだから、ウルトラマンタロウみたいに本当は強くても、普段は優しくしなくちゃね」
ここで言う「おんなじタロウなんだから」というのは、東光太郎と太郎君に、タロウという3文字が付いていることを指して言ったセリフですが、この短い間に自分と相手の共通項を導き出して共感する光太郎の手際の良さには関心するばかりです。
4歳の私が大きくなった時の目標にしてしまうのも頷けるセリフです。
放送当時生まれていない私がこの始末なのですから、本放送のリアタイ世代の皆さんも、将来は東光太郎のようになりたいと思った人が沢山いたに違いありません。
5:38~ 酔っぱらい怪獣ベロン出現!!
光太郎はZAT本部からの連絡で、怪獣が出現した事を知ります。
今回の登場怪獣は酔っぱらい怪獣ベロン。
腰にぶら下げたヒョウタンを引き摺りながら、東京の街をブラブラと徘徊し、よろめいたりズッこけたりした拍子に建物を破壊したりと、他の凶暴怪獣とは異なるもののはた迷惑な怪獣です。
ZATはスカイホエールとコンドルで出撃してベロンを攻撃しますが、攻撃に驚いたベロンはドロンと消えて、別の場所に瞬間移動してしまいます。
次から次に場所を変えるベロンに、ZATはてんてこまい。
ただの酔っぱらいのクセに特殊能力まで持っているなんて大した怪獣です。
ここで関心するのが特撮のミニチュアセットです。
最初にベロンが現れた場所は、線路の周辺に背の低い事務所ビルがポツポツと建っていますが、これがひとたびベロンが瞬間移動して次に現れた先は、背の高いビルが立ち並ぶビジネス街のようなところ、そして次に瞬間移動すると、藁葺屋根の民家が残る郊外の田舎町という風に、ベロンの行く先々で街の景観が全然違う、というところです。
1話完結の通常回なのに、特撮が贅沢過ぎるんです。
アングルで工夫して画だけで上手く見せてるとかじゃなくて、上から見下ろしたアングルで地面いっぱいに建物が並んでおり、こんなに気合入れて大丈夫なのか心配になるくらいです。
9:11~ 太郎君と宇宙少年
所変わって再び太郎君の出番。
太郎君は川辺で枝を振り回しながら、姉への不満をボヤいています。
太郎君の姉は、基本的に「お姉ちゃん」としか呼ばれていませんが、ここのセリフでだけ「ヒフミと~、フミコは~、人間じゃないんだーっ!宇宙人だーっ!」と言われているので、一応、ヒフミとフミコという名前であることがわかります。どっちがヒフミでどっちがフミコなのかはわかりません。
「人間じゃない」とか、「宇宙人だ」という悪口は令和の現代でも通用しそうですが、日常的に宇宙人の侵略を受けているウルトラシリーズの世界では、人を宇宙人と揶揄するのは言葉の重みが異なりそうですよね。
と、そんな風に川辺をうろついていた太郎君。
ふと死線を見下ろすと、不思議な白い姿の5人組が縮こまっているのを見つけます。
太郎君が声をかけると、「ヒャーッ!!」と声を出して隠れてしまうんですが、この「ヒャー!!」という悲鳴が子供心に怖かったのを覚えています。
その5人組は、楽器を持っており、太郎君が「5人囃子みたいだ」と言うと、楽器を鳴らしはじめ、音楽が流れるとともに物語の雰囲気がガラッと変わります。
「ボクらね~、宇宙人」
「ハイ!そーです!!」
さっきまで太郎君にビビっていたのに、何故だかいきなりノリノリです。
公園の遊具を活かした独特の画面作りが織り成す不思議な雰囲気に吞まれながら、宇宙人たちは太郎君にベロンを宇宙に連れ帰るために協力して欲しいとお願いします。
この宇宙人たち。
劇中では詳細を掘り下げられませんが、白鳥座のファイル星からやってきたファイル星人です。
怪獣図鑑では宇宙少年とだけ記載されている場合もあり、私の持っていた怪獣図鑑では宇宙少年表記だったので、「宇宙少年ってなんだよ?」とか思ってました。
別におかしな日本語では無いんですけど、劇中で「宇宙人」と言っていたので子供心に「違うじゃないか」と思ったんでしょうね。
11:48~ 太郎君の怪獣退治
宇宙少年から、ベロンがお酒を飲むと酔っぱらって眠ってしまう事を聞いた太郎君は、お酒を調達するために自宅に戻ります。
お姉さん二人は、突然現れた宇宙少年たちに戸惑いながらも、成り行きで白酒作りを手伝います。
この一連の場面もとても好きです。
家庭用のビニールプールに白酒を注いでお酒のプールを作るんですが、その後の特撮シーンでベロンがミニチュアのビニールプールでお酒を飲むという場面に繋がっており、人間パートと特撮パートで整合性が取れているのは映像作品として当然の事ではあるんですが、物語として一体感が出ていてとても良いです。
13:35~ ベロンと踊る太郎君
ビニールプールに注がれたお酒では当然足りず、ベロンは「もっと持ってこい」と文句を言いますが、太郎君はスルーして歌って踊らせる作戦をはじめます。
1曲目はフィンガー5の「恋のダイヤル 6700」。
「リンリンリリン、リンリンリリンリン・・・♪」の歌い出しがキャッチーな歌です。
平成生まれの人にとっては、生まれる前の曲なのですが、テレビの昭和の懐かしソングを特集した特番があると大体流れる印象があるので、知名度はあると思います。
私はウルトラマンタロウが大好きなご覧の有様なので、凄いポピュラーな曲として認識しています。
幼稚園児の時は何の気なしに聴いてましたけど、全体的にベースラインが良いですね。
サビに入った後の高揚感も凄いと思います。
歌も良いんですが、映像も結構面白く。
画面の下半分に河川敷で踊る子供達を映し、画面の上半分に特撮セットのベロンを合成して一緒に踊っている映像になっているんですが、これもよく見ると凄いんですよ。
合成のテクニックとしては、河川敷を登り切ったところを目印にして切ればいいのに、建物の映像はミニチュア側ではなく実景の方を使っているんです。
(画面左下の民家の窓が開くので、よくわかります)
民家の形に合わせてマスクを切らないといけないので面倒臭そうですが、実景に対してミニチュアの位置を合わせる方が難しいからそうしたんでしょうね。
(そのせいで、ミニチュアセットと実景で建っている建物が違うという弊害は出ているんですが)
しかも、画面手前側で踊る子供たちは、画面の中央よりも左側に配置することで、画面の左手前から画面の右奥に向かって奥行きを感じさせる画作りになっており、映像自体は真正面から捉えた平坦な構図なのに立体感が生まれるという面白い効果が出ています。
完全に巻き込まれた太郎君のお姉ちゃん達も一緒になって踊っているのが面白いですね。
15:17~ ZATの白酒作戦
光太郎と北島隊員は、太郎君たちを避難させるため、コンドルを着陸させて河川敷にやってきました。
明らかに宇宙人がいるのに驚きもせず、白酒を飲ませればベロンが寝てしまう事を聞いた北島は、スカイホエールに白酒を作るように連絡。
北島隊員は「ヘンな話なんですがね」と前置きしますが、荒垣副隊長も「それをヤツに飲ませればいいだな?」と話が速いです。タロウの世界はヘンな怪獣が多いので、慣れっこなんでしょう。
スカイホエールが白酒を作っている間に、太郎君は次の曲を踊る事を提案します。
太郎君、不平不満を言うもののやるときはやる性格のようで、「くたびれちゃったよ~」と言いながらも、みんなに指示を出して積極的にベロンを眠らせようとするので好感が持てます。
今回ばかりはウルトラマンタロウに変身する光太郎よりも、太郎君の方が主役です。
ベロンを躍らせる2曲目は金井克子の「他人の関係」です。
「狙いうち」や「恋のダイヤル 6700」と違って大人っぽいアダルトな雰囲気の曲ですが、話の展開に緩急をつけるためにわざと大人しめの曲を選曲したのでしょう。
ベロンの口が上を向くような振り付けの曲にして欲しい、というリクエストのために、歌い出してスグに流れるのが終わってしまいます。
ベロンの口が上を向くような振り付けの曲として選ばれたのは、冒頭で太郎君が披露していた山本リンダの「狙いうち」です。
同級生にからかわれた怒りを誤魔化すためにヤケクソで踊った曲が、ベロンにお酒を飲ませるための決定打になるというなかなか面白い采配です。
ベロンの顔が上を向いたタイミングで、スカイホエールは白酒を放出。
ベロンは嬉しそうにゴクゴクと飲みながら、ヒョウタンを差し出して、ヒョウタンに白酒を注ごうとします。ここでスカイホエールがヒョウタンに入るように白酒の放出角度を調整してあげるところも芸が細かくて関心します。
だって、ヒョウタンに白酒を注ぐやりとりって無くても物語上は成立するのに、映像として面白くするために敢えてやっているわけです。結果的にちゃんと面白くなっているのですから、よくできていると思います。
17:59~ 暴れ出すベロン
お酒を飲んで眠ってしまうかに思えたベロンだったが、酔いが回りすぎて暴れ出してしまいます。
何を蹴ったのかわかりませんが、ベロンが脚を振り上げた途端に足元が爆発するのが面白いです。
荒垣副隊長も「寝るんじゃなかったのか?」と困惑するわけでもなく、「アルコールの量が違ったかな?」と冷静に分析したりするので、これもまたしっかりしてて良いですね。
宇宙少年が「飲みすぎだ~」と呟いたのを聞くやいなや、「消えないのが取り柄だ」とZATは攻撃を開始します。
地上の太郎君たちは、ベロンを再び躍らせるため、「恋のダイヤル 6700」を踊り始めるも、ベロンはお構いなしに大暴れして、スカイホエールを撃墜します。
ここでBGMのD2が流れるんですが、実はこれが第48話ではじめて流れるタロウのBGMです。
今回はフリー音源や流用曲が多いですね。
タロウのために作られた曲は、このD2と、戦闘シーンで流れる主題歌の2曲しか流れません。
住宅地を乗り越えて河川敷に迫るベロン。
ここではじめて河川敷を上空から俯瞰で撮影した映像になるんですが、この映像にベロンの後頭部を合成することで臨場感が高まります。さり気ないですが第48話ってどれもこれも特撮がスゴイですよね。
20:00~ ウルトラマンタロウ対ベロン
光太郎はウルトラバッジを掲げてウルトラマンタロウに変身!!
タロウとベロンの対決がはじまるわけですが、ここもミニチュアセットが凄いです。
戦いの舞台は河川敷なんですが、画面手前に太陽光を反射しながらキラキラと波打つ川をなめて、ところどころ葉っぱのついた木もあれば、葉っぱの無くなった枯れ木もあり、という具合になかなか凝ったデキです。建物は序盤のベロン出現時の映像で息切れしたのか、一切建っていませんが、農家の人がトラクターをしまっておくための小屋みたいなのがチョコンと一棟だけあるのも、なかなか手が込んでいます。
冷静に考えると、太郎君たちがさっきまでいた河川敷より明らかに広すぎる気がするんですが、それは気にするだけ野暮というものでしょう。
今回の戦闘シーン、ベロンは酔っぱらっていてフラフラしているので、終始タロウが優勢でボコボコにするスタイルなんですが、ベロンに促されてタロウも「狙いうち」の振り付けで踊り出す場面があります。
平成に入るとウルトラ戦士が踊ったりする作品も珍しくなくなりましたが、当時としてはタロウ第48話がはじめてウルトラ戦士が躍った回と言えるんじゃないでしょうか。
戦いの最中、タロウは、ベロンの酔いを覚ますために、キングブレスレットをバケツに変化させて、水をぶっかけます。ネットではバケツだけが独り歩きしてる感がありますが、確かにウルトラマンが日用品を使うというのは意外性があってネタに見えてもおかしくはないのかもしれません。
(翌年のレオが、どうみてもただの傘をレオブレラとして使っているのは誰もツッコまないですがね)
酔いが冷めたベロンをタロウは持ち上げて飛び去ります。
22:54~ エピローグ
戦いが終わって静けさをとりもどした河川敷。
茂みの中から出てきた太郎君は、宇宙少年たちがいなくなっていることに気が付きます。
宇宙少年たちは、タロウに引っ張られるベロンの上に乗って、宇宙に帰っていくのでした。
ここで流れているのは、フィンガー5の「バラの少女」です。
この曲は、劇中の人物が歌っている時に流れないので、劇中歌ではなく挿入歌の扱いになると思うんですが、非常にロマンチックで、タロウに引っ張られて飛んでいくベロンのユーモラスな姿も相まって非常に印象に残る1曲です。
街を壊して大暴れしたベロンも、何事も無かったかのように「バーイ」と手を振り、宇宙少年たちも「太郎ちゃん、さようならー」と別れの手を振ります。
歌って踊ってと派手な展開が続いた割に、唐突に訪れる別れに、たった20分弱の物語だったにも関わらず、寂しさを感じます。
そして、この後が最大の見せ場なのですが、映像の再生時間で言うところの23:45から25:00までの1分15秒間は、「バラの少女」が流れる中を、登場人物たちが戯れる光景を長回しで描くのですが、その間一切セリフがありません。
彼らが何を話しているのかわかりませんが、ベロンを無事宇宙に送り返した功労者である太郎君を、冒頭でからかっていた同級生や、光太郎が称えて幕引きする、という非常に情緒あふれる美しい映像に仕上がっており、感無量です。
とてもさり気ないですが、河川敷の斜面を登れない姉二人を太郎君が背中から押してあげるやり取りがあり。姉二人に可愛がられているだけではない、力強く成長した太郎君の姿が垣間見えて良いです。
ここで流れている「バラの少女」は、歌詞が抽象的過ぎて何が言いたいのかよくわからないところもあるんですが、想い人への気持ちを綴っているらしい歌詞が、この一連の映像に絶妙にマッチしており、「誰かを待つ 何かを待つ そうよ帰ってこない人を」の部分は、宇宙に帰ってしまい、もう会う事のできない宇宙少年の事を指すのかなぁ、なんていろいろ考えたりして物語に余韻を与えてくれます。
まとめ
ウルトラマンタロウ第48話は、ウルトラマンらしくはないけど、タロウらしい、そんな不思議な回です。
酔っぱらい怪獣が登場して、お酒で酔わせて眠らせてしまおう、という展開も、一見するとギャグ調で、やっていることも歌謡曲がバンバン流れるイロモノみたいな内容ですが、その根幹には、逆境や困難を乗り越えてたくましくなっていく太郎君の成長物語としてのゆるぎない一貫性があると言えます。
また、メタ的な視点で見ても、当時の流行曲が劇中歌として流れる光景は、令和の現代では遠い過去のものになってしまった昭和の原風景を思い起こさせる歴史的資料になっているとも言えます。
加えて、それら流行曲が、怪獣退治の効果的な武器になるという役割も与えられており、ただ劇中で流れるだけではない好待遇を受けているというのも歌謡曲が好きな人にとっては嬉しいのではないでしょうか。
改めて観れば観る程面白い回ですが、私にとっては東光太郎に一目惚れし、ウルトラマンタロウが大好きになる記念すべき回でもあります。
あの瞬間から、ウルトラマンタロウは私にとって特別な存在になり、今に至ります。
その後、BS放送で最終回までタロウを観ることになりますが、そんな訳もあって、続く第49話~第53話も私にとっては沢山の思い出が詰まった特別な回です。
これら残り5つのエピソードについても、今回のような形式で解説を書きたいです。

