第10話「異星人狂騒曲(エイリアンラプソディ)」
変身生命体リュグロー 登場
茶色いドロドロから角が生えたような不思議なデザインです。
ネットでグレートが紹介されるときは、大体このリュグローの頭の角をグレートが受け止めてるときのスチールが掲載されることが多いので、もしかするとポピュラーな怪獣かもしれません。

ほら、ツブラヤイマジネーションも、このスチールです。
リュグローは、何を考えてるのかわかんない怖さと妙な愛嬌が混ざった絶妙な顔をしていますよね。
ストーリー
この回は、「怪獣撃滅作戦」の最初に挿入されるエピソードなので、ある意味私がはじめてみたウルトラマンGだと言えるでしょう。ちょっと内容が内容なだけに、オトナのドラマって感じがして、最初はとっつきずらかったし、車が爆発したりして怖いんですが、ウルトラマングレートがかっこよすぎてシビれた想い出があります。
物語はというと、宇宙の星々を渡り歩く宇宙人の夫婦、リュグローとベロニカが、地球で人間として生きて往く道を選ぶというお話です。
これまでのエピソードに比べると非常に都会的で、刑事ドラマのような雰囲気です。
敵対関係ではないのに、宇宙人というだけで警戒される異邦人の姿は、ウルトラセブンのようでもあります。
UMAのコメディリリーフであるチャールズの主役回でもあります。冒頭、ガールフレンドに振られ、ベロニカと出会い、リュグローとベロニカが地球で生きて往くための懸け橋になるという大役を務めます。普段ふざけているけど根が真面目な、チャールズにしか務まらない役割でしょう。
今回は、セリフもところどころ詩的というか、スカした感じに成り切らない具合の、気の利いたセリフ回しが多いです。
アーミーに包囲された状態で交渉をしに来たチャールズを迎えた時の「食事するには騒がしすぎるわね」というベロニカのセリフにはじまり、どんな姿にも変身できることを知ったチャールズの「今は何になりたい?」という言葉には「友達に・・・(なりたいのニュアンス)」と答えるなど、ロマンチックな会話が交わされます。
ゴーデスの脅威にさらされ、数々の恐ろしい怪獣たちが暴れるグレートの世界観において、ひとときの休息とも言える暖かい名場面だと言えます。
(ちなみに原語版では、前者のセリフが「何だか大騒ぎね」という味気ないものになっており、後者のセリフはセリフこそ日本語版と同じく「友達」となっていますが、その前のチャールズのセリフが「今は?」という、何に変身しているかを問うスタンスなので、ニュアンス的に「今は友達に変身している」となるのでしょうか。ここは日本語版が名翻訳だと言えます)
戦闘シーン
毎回毎回言っているような気もしますが、戦闘シーンも良いんです。
列車が走る街の離れをリュグローが暴れるミニチュアは壮観のひとこと。
密度では第1話のブローズ戦に劣るものの、規模感は今回の方が上でしょう。
リュグローは瞬間移動ができるので、グレートもタジタジ。
いなくなったと思ったら、背後から大鎌の一撃を食らって成す術がありません。
グレートもリュグローが悪意の宇宙人ではないと理解しているので、必死に説得しますが、むやみに明言せず、「(地球で生きて往くためにはどうすればいいか)わかっているはずだ」と自ら理解することを促すニュアンスのセリフなのが良いですね。
最後、リュグローはチャールズそっくりの人間の姿に変身し、ベロニカと共に地球人として生きて往く事を選ぶ、という大団円で終わります。グレートとして異色な回でしたが、グレートでないと作ることができない名エピソードだったと言えます。
自分そっくりの姿に変身したリュグローを見て「趣味がいいぜ」と漏らすチャールズの粋なセリフでENDです。
まとめ – バッドエンドからハッピーエンドに
当初のシナリオだと、ベロニカは射殺され、リュグローもグレートに倒されるバッドエンドだったらしいので、よい軌道修正だと思います。当初の予定で作られてたら、グレートで一番の鬱回だったわけです。恐ろしいですね。
また、「新ウルトラマン大全集」では、「事態が終息しただけで問題は解決していない」と辛口な解説がされていましたが、その辺はもう素直に「二人には平和な未来が待っているんだな」と解釈すれば良いと思います。ここでわざわざ、「二人は今後もアーミーに追われるんだろうなぁ・・・」みたいな事想像する人いるんですか?

