第7話「森の守護神」
守護獣ガゼボ 登場
前人未踏の聖域と呼ばれる森の中に住んでいる怪獣です。
サブタイトルだと守護神なのに本編だと守護獣なので、ランクダウンしてますね。あと、森に住んでいるというだけで別に守護してるわけでじゃないので、人間が勝手に言ってるだけですね。
ゾウのように鼻が長くて「パオーン!」と鳴くので、ずっとゾウの怪獣だと思ってたんですが、カンガルーの怪獣なんですね。どうみてもゾウなんですが、ゾウとカンガルーは遺伝子的に近しいとかそういう話でもあるんでしょうか?
せめてお腹に小さいガゼボが入ってるとか、そういうわかりやすい描写があればよかったような気もしますが、物語の主旨的にカンガルーであることはあまり重要じゃないので、そこまでする必要は無いですね。
どちらかと言うと、カンガルー(=有袋類)というオーストラリア特有の動物の先祖であるという設定が、その土地に古くから住んでいるという説得力に繋がるので、それさえできていれば設定としての役目は果たしていると言えます。
それはそうと、守護獣というのが、翌年放送の「恐竜戦隊ジュウレンジャー」の巨大メカと同じなので、当時は不思議に思ったものです。
第2部のはじまり
この第7話は、当時ビデオシリーズでは観たことがありませんでしたが、デガンジャの登場する第4話同様に劇場版「怪獣撃滅作戦」に含まれていたので、そこで観たのが初めてです。
ゴーデスは前回第6話で倒しているので新シリーズがはじまります。従来のウルトラシリーズのように1話完結型の怪獣退治モノになるので、古参ファンには第7話以降の方が馴染みがあるかもしれません。
もっとも、ゴーデス編が無かった事になっているわけではないので、ガゼボを見たジーンがゴーデス細胞によって生まれた怪獣ではないかと疑う場面があり、シリーズとしての連続性は意識されています。
ストーリー
今回は、森に遭難した少女を救うため、UMAが助けに行くというお話です。
原理がよくわからないですが、金属を溶かす胞子を出すキノコが自生しており、近代的な機械が使用不可能になるという展開で、かなり大ピンチです。
子供が中心人物になる回は、第3話のゲルカドンで既に描かれていますが、ゴーデスが絡まない事件なので、雰囲気が違いますね。ゴーデス細胞を前提としない話運びなので、すごいマイルドに感じます。
今回は特撮も良いですよ。
地上で話が進んでいく都合、ガゼボが映る映像は徹底して地面から見上げたアングルになっているんですが、ガゼボの手前に木が並んでいるので、手前から奥にかけての奥行きがすごいんです。これは子供のころから好きな映像で、製作から35年経った今見ても圧巻です。
戦闘シーン
戦闘シーンもいいです。
ジャックがウルトラマンに変身した時、BGMのイントロに合わせてアーサー隊長と少女の母親が遠くの方から何かを見つけたような仕草で画面の手前まで走ってきて、ウルトラマンを見つけて「おぉ」と安堵の表情に変わる、という独特の演出になっています。
こんな風に地上の人間にリアクションさせる事でウルトラマンが出てきた事を描写する映像は、過去作だと「あ!ウルトラマンだ!!」とセリフを言わせるわかりやすいものだったんですが、今回の仕草と表情だけで魅せる演出はかなり良いですね。
こころなしかゴーデス編よりもグレートのアクションが軽やかで機敏になっている気がします。
要所要所で前回りしながらガゼボの後ろに回り込んだり進行方向に回り込んだりして応戦する描写があります。
私はこのウルトラマングレートが前回りする場面がカッコよすぎて真似しているうちに前回りを覚えました。まさにヒーロー番組は教育番組ですね。
ガゼボはかなりのパワーファイターです。
山肌に叩きつけられてノックダウンしたグレートが起き上がろうとするたびに、腕の一振りで更にダウンさせるという恐ろしい怪力です。
ウルトラマングレートは歴代ウルトラマンの中でも一際ダウン率が高くて、戦闘中によく気絶したり、長時間怯んだりするんですが、今回のガゼボ戦では顕著ですね。
しかしグレートはただガゼボに押されているわけではありません。ガゼボを殺さずに地下に追い返すためにチャンスをうかがっていたのです。
今回のグレートは、フィンガービームで山を爆発させたり、スタービームでガゼボの足元を爆発させるなど、直撃はさせずにひたすらけん制ばかりしていました。
そして、一瞬の隙を突いてガゼボを地下洞窟の入口に誘導、洞窟の入口を崩して、もう地上に出てこないようにしたのでした。
まとめ
グレートでは、はじめて怪獣を倒さずに物語を終えた回なので、そういう意味でも印象深いです。
怪獣をカッコよくやっつけるウルトラマンも好きですが、今回のように怪獣を倒さずに自然に帰してあげる優しさの象徴としてのウルトラマンも好きです。

