先日、サブクスの記事でツブラヤイマジネーションについて解説した際、「ウルトラマンパワードだけ観ることができない」と嘆いていたのを覚えているでしょうか。
別に観る手段が無いわけではないので、頑張れば観れるんですよ。
何を頑張るのかは言わずもがなおサイフの事なんですが、2017年3月にBlu-ray BOXが発売されていますからね、買えば観れるんですよ。
当然、値は張るんですが、1クールしか無いので1年モノのTVシリーズが全話収録されたBOXよりは遥かに安いわけです。

と、言うわけで購入しました。
ウルトラマンパワード Blu-ray BOXです。
あのサブスクの記事を書き終わった直後くらいにはポチッてましたね。
まだ封を開けていないので、外装のビニールに貼り付けられた金色の丸いシールがくっついてます。
このシールは外装ごと捨てちゃうので、写真にでも取っておかないともう見れませんよ。

同時期に発売されたウルトラマンGのBlu-ray BOXとツーショット。
ウルトラマンGとウルトラマンパワードは、90年代にVHSが発売されて以後、映像ソフトに音沙汰が無く、DVDも発売されなかった為、長らく視聴困難な作品となっていたものが、Blu-rayでやっと観られるようになったという経緯もあるので、揃えたら並べたくなりますよね。
オーストラリアの赤茶けた大地をイメージした茶色いジャケ画のグレートと、アメリカのクールでメタリックな夜を意識した青いジャケ画のパワード。対照的でいい感じです。
両作品に”海外製作のウルトラマンである”以外の繋がりはありませんが、似たような境遇のキャラクターだからこそ、2作品のBlu-ray BOXを揃えることではじめて完成形となるのではないかと思います。
ウルトラマンGは観たかったので、発売してスグにBlu-ray BOXを購入しましたが、パワードは欲しい欲しいと思いながら、なかなか買う踏ん切りがつかなくて、やっと購入できました。
発売から8年かかりましたが、それだけ悩むくらいならさっさと買えばよかったじゃないかと思います。
この8年の間に爆売れしてプレミア化してたら買いたくても買えなくなっていたかもしれませんからね。
パッケージ
改めてパッケージです。
いいですねー。
眺めてるだけでも最高です。

パワード特有の張り手ファイティングポーズです。
今まで全然気にしてなかったけど張り手だと思ったら途端に間抜けに見えてきました。どすこい。

次は裏面。
パワードのコントラストがキツ過ぎて目がチカチカします。
映像美を謳っていますが、本当にパワードのBlu-rayって画質良すぎるんですよ。
発売前のPVの時点で、他のデジタルウルトラプロジェクトよりも一線を画すレベルで綺麗でしたもの。
相対的にグレートのガビガビでボソボソなビデオ画質が際立ってしまう事になるんですが。

お次は背表紙。
横書きのタイトルロゴを分解して縦読みに並べ直してるんですが、文字のバランス感が絶妙過ぎて不安な気持ちになります。

パッケージを開いたところです。
ブックレットはパワードの能力や登場人物、メカニック、怪獣など必要最小限の情報が掲載されているんですが、往年のファン目線ではかなり物足りないです。
「無いよりはマシ」なレベルの内容ですが、多分このBlu-ray BOXを購入するような層ならちゃんとした解説本くらい持ってるでしょ的な信頼さえ感じます。

まぁ、これだけあったら今更ブックレットもいらないでしょう。
グレートとパワードは書籍の絶対数が少なく、たまに発売されるデカイ本に今まで出てこなかった情報が一極集中しがちなので、写真の3冊さえ持ってれば実質コンプリートみたいな感じありますよ。
写真左の「新・ウルトラマン大全集」と写真中央の「エンターテインメントアーカイブ」はamazonでは高騰してますけど、写真右の「ウルトラ特撮」ならまだ定価で購入できます。
amazonが高いだけで、まんだらけなどの中古市場ではそこまで高くないので、足を運べそうならお店まで行った方がよいかもしれません。
さて、前置きはこの辺にして、本編を観てみましょう。
ウルトラマンパワード公開当時、私は幼稚園児だったのですが、私の家は他所様から物を借りる行為を嫌う文化があり、レンタルビデオを借りない家庭だったので、実はパワード本編をちゃんと観るのはこれが人生はじめてなんです。
楽しみですね。
DISC1

さっきと同じ写真で恐縮ですが、DISC1のレーベルはバルタン星人です。
体色にブチブチ模様が付いているNG版ですね。NG版なので、このブチバルタンは本編に出ませんよ。

Blu-rayを起動すると、言語選択画面から始まります。
最終回でパワードスラッシュを打ち出そうとしているパワードの静止画が使われています。
BGMは「ウルトラマンパワード メインテーマ(M1)」が使われています。
イントロが終わった0:14あたりから流れますね。
ニュース番組みたいな音楽なんですが、本編に流れると何故かすごいしっくり来ます。
実にパワードらしいと思います。

言語を選択すると、エピソード選択画面に移行します。
レッドキング(雌)とチャンドラーが戦っているところを映した写真が使われています。
ちなみに、英語版と日本語版で写真が変わるとかはありません。
第1話「銀色の追跡者」
バルタン星人が登場する第1話です。
全編ナイトシーンです。幼稚園児の時だったら怖くて最後まで観れなかったかもしれません。
戦闘シーンも妙にモタついていて、かっこいいのかかっこ悪いのかよくわかりません。
宇宙人と宇宙人の戦いを初めて目撃したらこんな気分になるのかもしれません。
第2話「その名はウルトラマン」
毒ガス怪獣ケムラーが出現します。
ストライクビートルやスカイハンターなどW.I.N.R.のメカニックが大活躍するのが見所です。
ストライクビートルは急旋回の時にエンジンノズルがパタパタ動くのがカッコいいですね。
しかしパワードとケムラーの戦闘シーンはイマイチ。
戦っているといより、パワードがケムラーを押さえつけているだけで、トドメを刺すのもストライクビートルです。
ケムラーの着ぐるみが重すぎてアクションできなかったのだろうことは想像できますが、ものすごいアッサリ終わります。
第3話「怪獣魔境へ飛べ!」
チャンドラー、レッドキング、ピグモンが登場します。
南米のギアナ高地に怪獣ドキュメンタリーを撮影しにきた撮影隊が怪獣に襲われるという物語なのですが、ギアナ高地ってそんな簡単に行ける場所なんでしょうか。
レッドキング(雌)はパワードを崖に落とそうとするのですが、何故かレッドキング(雌)の方が自分から崖に転落してしまうという終わり方で、有耶無耶のうちに決着が付きます。
崖から落ちたはずのカイが無事に帰って来た事についてロジャーがいろいろ質問するも、「ウルトラマンに助けられた」と誤魔化していい感じに終わるラストがよかったです。
DISC2
1枚3話収録なので、早速DISC2です。

DISC2のレーベルはウラン怪獣ガボラが飾っています。凶悪な顔をしています。

そしてメニュー画面は地底怪獣テレスドン。
レーベルとメニュー画面で怪獣が被らないようになっているみたいですね。
DISC2にはジャミラも登場するんですが、ジャミラは片鱗すらありません。
ちなみに音声選択画面はDISC1と同じでした。
第4話「闇からの使者」
地底怪獣テレスドンが登場します。
カイが行方不明になったことに意気消沈するも、持ち前の頭脳でテレスドンへの対抗策を立案するテレサ・ベックの活躍が目覚ましい回です。こういう人間臭い話は好きです。
ミニチュアも日本人スタッフが製作しているのでリアルですが、セットの規模が狭くて、アメリカなんだから流石にもうちょっとビルあるでしょって気分になります。奥行きが欲しいですね。
建物破壊も控えめで、テレスドンが登場する時にビルが陥没した地面に落下するのが関の山で、テレスドンがビルの看板をペチンと叩き落としたり、吹き飛ばされたパワードがビル屋上の看板に当たって壊れるくらいしか無いのが物足りないですね。
第5話「電撃防衛作戦」
ウラン怪獣ガボラが登場します。
この話物凄い面白かったです。
放射能を有していたり、放射性物質を常食する怪獣は古くからあるんですが、今回のガボラは放射能のアドバンテージが凄すぎてパワード怪獣の中でもかなり強い部類に入るかもしれません。
放射線が強すぎて電波通信が使えなくなるとか、ミサイルの誘導ができなくてヘンなところに飛んでいくので手動ロックオンしかできない、など、初代ウルトラマンのガボラ回って結構ガバガバだったんだなって思うくらいの強敵だと思いました。
劇中でも”歩く原発”と言われたり、下手に武器を使うと核分裂が起こって爆発するかもしれない、と言われたり、実質ゴジラみたいな扱いだったのがシビれました。
ガボラに襲われた原発を放っておくと、メルトダウンで西海岸一帯が汚染されるので、職員が避難せずに冷却装置の修理にあたるなど、放射線被爆の恐ろしさにも触れられており非常にハラハラする内容でした。
(誰も防護服を着用していないのがちょっと怖いんですが)
いつもモタモタ気味に感じるパワードの戦闘シーンも、流石のガボラが相手では上手く手が出せないと思うので、丁度いい塩梅かと思います。
ウルトラマンパワードって、パワードだけの力では怪獣を倒すことができなくて、W.I.N.R.との連携でやっと倒せるみたいな展開が多くて、これ結構いいなって思います。
第6話「宇宙からの帰還」
棲星怪獣ジャミラが登場します。
“棲星怪獣”って、”せいせいかいじゅう”って読むんですけど、幼稚園児の頃は”すいせいかいじゅう”だと思ってました。
初代ウルトラマンに登場するジャミラに比べるとパワード版ジャミラはイマイチ影が薄い印象があったんですが、思ってたよりも面白かったです。
人間が怪獣に変身するジャミラの特性から、ウルトラマンパワードも実は人間になって地球に潜んでいるかもしれないと推測するテレサ・ベックの発想や、何故W.I.N.R.はウルトラマンパワードを味方だと認識できたのかという疑問に対して、戦う相手(バルタン星人)がいたから、という風に物語設定の基盤を整理する内容になっていて、ハッとする内容でした。
また、なんやかんや言いながらチームワークの良かったW.I.N.R.が考え方の違いから分断したりと、いつもと違う展開を見せて、それもハラハラしました。
上層部からの指令でジャミラの調査を中止することに不服の隊員たちをわざと停職扱いにして自由に調査させるなど、粋な計らいをするエドランド隊長もかっこいいです。
日本の番組だったら、停職を命ぜられた隊員たちは、隊長の真意を察して笑顔で出かけていくはずなんですが、しかめっ面しながら作戦室を後にするので、「じゃあ勝手に調査してやるよ」みたいな不貞腐れたみたいな感じだったんですかね。
それはそれとして、カイ、ベック、ヤングの3人が停職になってる状態はW.I.N.R.として活動するの無理すぎるので、別の怪獣が出現しなくて本当によかったと思ってます。
戦闘シーンもよかったですね。
パワード怪獣って着ぐるみが重すぎてアクションがモタモタしがしなんですが、ジャミラは尻尾が無い分動きやすいのか、ちゃんとパワードと取っ組み合いしたり馬乗りになってボコボコにしてたりしてウルトラマンらしい格闘だったのでよかったです。
怪獣化したジャミラが怪獣に意識を乗っ取られる前にウルトラマンに倒される事をお願いするラストは、日本だと鬱回になりそうですが、ジャミラの娘が「父親が怪獣化した原因を調べるために宇宙飛行士になる」と決意するラストでかなりポジティブに描かれているのも日本の番組とは違うなと思いました。
あと、ウルトラマンパワード全体の作風に言える事なんですが、事件が解決したら後日談も無く、そのまま話が終わるので、エドランド隊長とサンダースが途中から完全にフェードアウトしてるのが凄い気になりました。
DISC3

DISC3のレーベルは三面怪人ダダです。
パワード版のダダは幼稚園児の頃物凄い怖かったんですが、今観ると何がそんなに怖かったのか不思議なくらい全然怖くないです。当時はブラウン管でしたから、あの解像度で怖く感じたのかもしれませんね。

メニュー画面はアボラスとバニラです。
前述の通り、レーベルとメニュー画面で怪獣が被らないようになっているんですが、1枚のディスクに3話収録の都合、必ず1話分の怪獣が余ってしまうのが寂しいですね。
エピソード選択画面から、チャプター選択画面に移動して、そこに余りの怪獣(ケムラー、ジャミラ、ザンボラー)が入ればよかったかもしれません。
第7話「灼熱の復讐」
灼熱怪獣ザンボラーが登場します。
ザンボラーはいいですね。恐竜がそのまま怪獣になったみたいな、迫力あるデザインで最高です。
ウルトラマンにおける怪獣は自然災害のようなものだと言われますが、パワードの怪獣は特にそのニュアンスが強く、毒ガスを撒き散らすケムラーや歩く原発と言われるガボラに、今回の体温だけで山火事を起こすザンボラーのように、直接破壊活動をしなくても周囲に悪影響を与える能力を持っていて恐ろしいです。
アメリカは山火事が多いので、ザンボラーはかなり身近な恐怖を感じさせる怪獣かもしれません。
ザンボラーは体温が高すぎて、ミサイル攻撃は着弾前に融解し、レーザー光線も熱で歪んだ大気によって命中しない、という恐ろしい特性を持っており、W.I.N.R.もなすすべがありません。初代ウルトラマンのザンボラーよりも強すぎてハラハラします。
事前情報でウルトラマンは戦わないと聞いていたので、退屈な場面になるかと思っていたのですが、ザンボラーの目の前で仁王立ちして訴えかける無言の戦いはパワードで一番面白い戦闘シーンだと思いました。ヒーロー番組ってかっこいいアクションだけが全てでは無いのだなと初心に還る気持ちです。
どちらかと言うと、アクションの主役はW.I.N.R.のメカニックではないでしょうか。
普段戦闘に参加しないスカイハンターまで戦線に出てきてなんとかして対処しようとする場面は最高に興奮しました。
第8話「侵略回路」
三面怪人ダダが登場します。
ちょっとよくわからないところもありますが、概ね面白い内容でした。
コンピューター生命体が現実世界に実体化するために人間を誘拐して細胞組織(ダダは炭素ユニットと呼んでいますが)を奪うというくだりは、世の中がネット社会に移行していく時代としては先進的な内容ではないかと思います。
コンピューターネットワークを題材にした特撮番組だと、『電光超人グリッドマン』が真っ先に思いつくかとは思いますが、同年代のウルトラマンパワードのダダがそこまで話題に上がらないのは、1エピソード止まりの怪獣であるからなのか、それとも地上波放送されなかったために接触機会が限られるビデオリリース故の弊害だったのか。
いつもは戦闘機で戦うW.I.N.R.が銃撃戦を行うというのも普段見ない場面なので、見所がありました。
パワード全エピソードの中でもW.I.N.R.ショットが一番多く発砲された回だと思います。
銃撃が当たってるのか当たってないのかイマイチよくわかりませんでしたが。
よくわからないと言えばパワードとダダの戦闘シーンもです。
念力で車を浮かせてパワードにぶつけて攻撃するのですが、丁寧に1台ずつぶつけていくので効率が悪いなぁ、と思いました。
やろうと思えば、複数の車を浮かせてぶつけるなんて、当時の特撮技術でも余裕でできたと思います。
突然パワードが鉄塔にメガ・スペシウム光線を発射するのもよくわかりませんでした。
なんとなく電源落とせばダダ消えるでしょ、的なノリなんじゃないかとは思うんですが、説明が無くて「いや、まぁ、そういうことなんだろうな」と自己解決させるしかないですよね。
ラストシーンでダダが実は生きていた、というジャパニーズホラー的な終わり方もベタですがグッドです。
映像の尺が長すぎて「絶対これダダが生き残ってるヤツじゃん」と途中で勘付けちゃうのが惜しいですが。
第9話「復活!二大怪獣」
青色発泡怪獣アボラスと、赤色火焔怪獣バニラが登場します。
久しぶりに純粋な正統派怪獣モノなんですが、割と面白かったと思います。
アボラスとバニラは二足歩行のゴジラ型怪獣で、パワードの中ではテレスドンに近いプロポーションなのですが、テレスドンほどモタモタしてる感じは無くて、海外スタッフが全体的に怪獣に慣れてきてる感があります。
ちゃんと建物破壊もしており、怪獣が暴れている感じがしますね。
アボラスの溶解泡でバニラは一回倒されてしまうんですが、何の説明も無く生き返るのがちょっと気になりました。
アボラスもスカイハンターの攻撃で一度は倒されるんですが、タメも無くスグに復活するので、事件が解決したと思ってW.I.N.R.が一回基地に帰るくらいのタメはあった方がよかったかなぁと思いました。
パワードとの戦闘シーンもちょっと謎で、カラータイマーが鳴り始めたのに、別のロングショットではカラータイマーが青いままだったりして、ムムム・・・と気になるところが多かったです。
DISC4

DISC4のレーベルは古代怪獣ゴモラです。
ゴモラと言えば、大怪獣バトルで主役を務めて以降はかなりのスター怪獣に伸し上がった印象がありますが、パワード製作当時の平成初期はまだまだイマイチなポジションだったように記憶しています。

メニュー画面はドラコです。
全身を網目のように白いラインが流れている雰囲気はそのままに、初代ウルトラマンのドラコとは似ても似つかないくらいに大アレンジされています。
当時発売されていたソフビ人形は真っピンクで可愛らしい感じがしたんですが、着ぐるみは結構グロテスクで怖いです。
この怪獣が出てくると、いよいよパワードも大詰めだなぁと感慨深くなります。
第10話「二人の英雄」
油獣ペスターが登場します。
全身に沢山の吸盤が並んでいて一見すると凄い気持ち悪いかもしれませんが、私は凄い好きです。
初代ウルトラマンに登場したペスターは、海面から頭と半身を出してのそのそ泳いでいましたが、パワードのペスターは水中で身体を折りたたんで海底をのそのそ歩いている感じで、生態が異なりますね。
割と第5話~第9話が面白かった反面、今回はイマイチな感じがしました。
パワードとペスターの対決シーンが、割とあっけないと言うか、石油が詰まってるからうっかり攻撃できない都合、空中に放り投げて爆発させるしか無いんですが、パワードがどうしてそれを思いついたのかサッパリわからないので、「なんかよくわかんないけど勝てた」みたいな印象になってしまった。
他のウルトラマンだったら、ナレーターがいろいろ説明してくれてたと思うんですが、パワードという番組にはナレーターがいないので、説明不足感が強いです。
うーん。
第11話「よみがえる巨獣」
古代怪獣ゴモラが登場します。
ミイラ化した状態の怪獣が大量の雨を吸収して蘇るというあらすじは、なんとなくゾンビのような雰囲気も感じるのですが、ウルトラマンに登場するアンデッド怪獣ってシーボーズだったりステゴンだったりと、割と可愛いキャラクターが多いのが不思議です。
それにしても今回のエピソードは薄味な感じがしますね。
決してつまらないわけではないんですが、盛り上がりそうで盛り上がらないギリギリのテンションで話が進んでいる感じがしました。
住宅街のミニチュアセットはアメリカらしくていいです。
でも、戦闘シーンはなんだかイマイチ。
ゴモラ自体が明確に破壊活動をしてるわけでもなく、ただウロウロしてるだけで何をしたいのかわからないので、パワードも何をしに出てきたのかよくわかりませんでした。
話の流れ的にゴモラを大人しく眠らせてあげたいとか、そんな感じだとは思うんですが、かといって具体的に何をすれば目的が達成できるのかもわからないので、ルーティンワーク的に出てきたようにしか見えず・・・。
第12話「パワード暗殺計画」
彗星怪獣ドラコが登場します。
今回は、バルタン星人が本格的に地球侵略の準備を進めている状況下なので、とにかくただならぬ雰囲気のまま物語が進行します。
地球で何かある度に、月の裏に隠れているバルタン星人の宇宙船にいるゼットンの映像がインサートされて、視聴者をジワリジワリと煽ります。
今回登場するドラコは、パワードの戦闘データをバルタン星人に送信するための前段なのですが、ただの噛ませにならずにしっかりパワードに大ダメージを与えて倒されます。
初代ウルトラマンの第25話では新登場怪獣のクセにレッドキングにメタメタにやられていたドラコですが、レッドキングにもウルトラマンに圧勝しているので大したものです。
パワード以前の映像作品でドラコがウルトラ戦士と戦った事は無かったので、はじめての対決になるんですが、ドラコってこんなに強かったんですね。
全身もテカテカしていて、内臓が歩いているみたいでグロテスクです。
幼少期は映像で観るのがちょっと怖かったんですが、それだけインパクトがあったのか、人形を買ってもらいました。人形だと造形と塗装の具合もあってちょっと可愛いんです。
この強敵ドラコに対するW.I.N.R.の作戦も、ミサイルを全く同じ場所に連続で撃ち込むという脳筋みたいな戦法ですが、なんだか苦戦することもなく割と簡単に成功します。
もうちょっと思ったように攻撃が当たらないとか、ハラハラするタメが欲しかったです。
DISC5
いよいよ最終回です。

最終回が収録されているDISC5はウルトラマンパワードのバストアップが印刷されています。
最後のディスクレーベルがウルトラマンなのは、ウルトラマンGのBlu-ray BOXと同様です。
このレーベルで使われているパワードの写真は、主題歌シングルのパッケージ裏に使われていましたね。
前述の通り、私はウルトラマンパワード本編を観た事がないんですが、主題歌シングルは母親がくじ引きか何かで当たったからという理由で家にありました。
ソフビ人形と主題歌シングル、そして本屋さんで購入したパワード大図鑑が唯一の接点でした。

エピソード選択画面はゼットンです。
第13話しか選択できないのにエピソード選択もクソも無いだろうと思うんですが、ラスボスの威厳を感じますね。
第13話「さらば ウルトラマン」
最終回です。
宇宙恐竜ゼットンが登場します。
パワードの最終回ってあんまし話題に上がらないし、自分でも積極的にどんな内容なのか調べたわけじゃないので、ゼットンが強いくらいの情報しか知りません。これが人生初見です。
幼稚園児の頃からずっと観たかったけど観れなかったパワードへの渇望も、これで晴れる事になります。
OP前のアバンタイトルでいきなりW.I.N.R.本部に火の玉(ゼットンの眉)が降ってきて基地が壊滅するのは地球侵略RTAすぎてちょっと笑えましたが、本部を失った隊員たちが空軍基地を間借りして作戦を立てたりしているイレギュラー感が普段とは違う状況である事を印象づけていると言えます。
ドラコに斬られたパワードの胸の傷と同じものがカイの胸にもあることから、テレサ・ベックはカイがウルトラマンパワードである事を知るのですが、ここで変身アイテム”フラッシュプリズム”を研究してバルタン星人との戦いに有効活用しようという展開が面白いです。
今回、ウルトラマンパワードはカイの肉体から離れて単身でゼットンに戦いを挑みますが、やはりナレーターがいないので、なんでゼットンに勝てたのかよくわかりません。
書籍では、パワードがW.I.N.R.本部にメガ・スペシウム光線を撃って、ゼットンが気を取られている隙に背中へ再度メガ・スペシウム光線を撃ったから勝てたみたいに書いてあったので、まぁ、そういう事なんだろうなぁ、と思いました。
ゼットンの反応速度だったら背中から光線が飛んできても対応できそうな気がするんですが。
ゼットンを倒して満身創痍のウルトラマンパワードは、そのまま力尽きてしまうのですが、間髪入れずにバルタン星人の母船が地球に飛来します。
なんかドラコよりもゼットンの方が噛ませみたいに見えますが、とにかくパワードとW.I.N.R.の戦力を消耗させ切った後に本隊で攻撃を仕掛けるというのが、バルタン星人にしては用意周到過ぎて天晴です。
母船の中にはサイコバルタン星人というバルタン星人の親玉がおり、ものすごい思わせぶりな雰囲気を醸しだしていますが、宇宙から飛来したウルトラマンパワードの仲間たち(書籍ではM78星雲人と紹介されています)の集中攻撃を受けてあっけなく母船ごと消滅しました。
RPGでありがちなラストバトル後のイベント戦闘みたいですね。
地球侵略もRTAなら敗北もRTAな感じでした。
敵の親玉が出てきて、地球人側にはもう成す術が無い、という状況で強力な援軍が来て敵が全滅するという展開は創作物では割とあるあるな方だとは思うんですが、スカイハンターが中途半端に戦える状態なのと、地球にそこまでの被害が出ていないせいで、いまいち緊迫感が薄かった気がします。
ですが、「人間の心には光がある」というメッセージは、後年のウルトラマンティガに繋がっていくかのようで、感慨深いものがありました。
映像特典
DISC5には映像特典も収録されていますよ。
Making of Ultraman The Ultimate Hero
ウルトラマンパワードに参加した日本人スタッフ、樋口真嗣さん、三池敏夫さん、前田真宏さんの3名を交えて当時の状況をインタビューする内容でした。
放送当時発売されていた怪獣人形を手に取りながら、デザインの方向性を説明してくれたり、書籍にも載らないようなプライベートスナップでミニチュアについて説明してくれたりと大変貴重な映像でした。
樋口さんと三池さんががんばって手直したミニチュアを撮った写真が本物のようで、アメリカスタッフに見せたら本物の街と見間違えて「どこに遊びに行ってたんだい?」と聞かれたくだりは面白すぎて最高なんですが、樋口さんが撮った写真の通りに本編で映ってないのが心残りです。
TV放送版 次回予告・ED
ウルトラマンパワードは、ビデオリリースから数年度の1995年に地上波で放送されていたらしいです。
私は知らなかったんですが、そこで観ることができていれば、こうやってパワードを観たい気持ちを抱えたまま30年もの長い時間を過ごす事も無かったかもしれません。
もっとも、当時観ていたとしても小学生の頃の記憶なんてアテにならないので、Blu-ray BOXを購入して観直すことになっていたとは思いますが。
さて、内容はと言うと、額面通りに毎回放送分の次回予告とEDが順番に収録されているんですが、提供バックとエンドカードも収録されています。現代みたいに毎回異なる絵が使われているわけでは無いんですが、地上波放送を観ている感はあります。
全話通して、「戦闘空母スカイハンター(M-30)」のBGMに、ケンイチ・カイ役の森川智之さんのナレーションが被さる構成になっています。
しかし、カイとしてではなく、完全に別人格のナレーションとして喋っている感じがします。
また、ED曲はビデオ版で使われていた「この宇宙のどこかに」ではなく、新規に製作された「STARLIGHT FANTASY」が使われています。
同時期のパワーレンジャーでもそうなんですが、海外特撮が日本に輸入されると何故かEDがラブソングになって、本編の内容とはあまりリンクしているようないないような凄い不思議な気分になります。
ウルトラマンパワード ビデオ年賀状
テレビマガジンの応募者全員サービスのVHSです。
ウルトラマンパワードが主題歌や、第1話~第3話までの登場怪獣、得意技を紹介してくれる内容です。
パワードパンチやパワードキックなど、カッコいい技を紹介してくれますが、ウルトラマンパワードはアメリカの規制的な意味合いであまり正統派な格闘攻撃をしないので、ものすごい不思議な気分になります。
ウルトラマンパワードの声を担当しているのは、森川智之さんです。
これはウルトラマンパワード独自の凄いところで、声優さんがほぼ9割森川さんで固定されているんですよね。
ウルトラマンって、声優さんがその時その時でコロコロ変わるので、世代によってどの声がしっくりくるのかっていうのが顕著に変わってくると思うんですが、パワードだけは放送当時のスーパービデオや、昨今のギャラクシーファイトでも森川さんが担当しているので、あの頃のパワードのまま帰ってきてくれるわけです。
嬉しいですね。
ウルトラマンパワード 大決戦スーパービデオ
テレビマガジンの応募者全員サービスのVHSです。
放送当時、私が唯一観たウルトラマンパワードがこれです。
VHSも長い事大事に保存していたんですが、中学生か高校生になった時期くらいに無くしてしまって観れなくなっていたので、Blu-ray BOXの映像特典として観ることができて嬉しいです。
時系列的には第3話と第4話の間で、テレスドン~サイコバルタン星人までの怪獣とどのように戦うかをパワードと初代ウルトラマンが議論するという内容です。
VHS2巻が発売されてから3巻が発売されるまでの間に展開されたんでしょうね。
パワードが怪獣の特徴を説明し、初代ウルトラマンがアドバイスをする、という段取りで進んでいくんですが、パワードも初代ウルトラマンも一言ずつしか喋らないので、ものすごいアッサリしています。
幼少期はものすごいワクワクしながら観ていたのですが、想像以上にドライなやりとりでした。
初代ウルトラマンの言っている事って劇中でパワードがとる行動なので、言っちゃえばただのネタバレなんですが、言い換えれば初代ウルトラマンのアドバイスでパワードが怪獣に勝てた、という風にも見えるので、前述の「なんかよくわからないけど勝てた」感のある映像の裏付けと考えれば腑に落ちます。
15分しか無い短い映像なので、ことあるごとに観てしまいます。
パワード全13話を観る間に、おそらく4~5回は観たと思います。
放送当時観ることができたパワードなだけに思い入れが強すぎて無限にリピートしちゃうんですよね。
また、このスーパービデオに登場する初代ウルトラマンの着ぐるみのデキがものすごい良いんです。
初代ウルトラマン本編に登場するCタイプ着ぐるみにものすごく良く似ていてビックリします。
児童誌の応募者全員サービスにしては往年のオタクにも配慮した大変すばらしい内容で、おそらくウルトラマンパワードに関連した映像作品としては一番面白いかもしれません。
さいごに
感無量です。
幼稚園時代に観ることができなかった「ウルトラマンパワード」をこうして観ることができたのですから。
長生きはするものですね。
一気見すると勿体ないので、1日1話ずつ観ていったのですが、毎日が凄い楽しかったです。
この記事を最後まで読んでいただいた方はわかっているかと思いますが、各話レビューはかなりボロクソ書いています。
ところどころ面白い回もあったんですが(第5話~第8話)、それでも全体的な感想としては薄味だったなぁと思います。
W.I.N.R.と怪獣の戦いはある種怪獣映画の王道をやっている感じで物凄い面白いのですが、ウルトラマンとW.I.N.R.隊員の関係性が希薄で、日本のウルトラマンで見られる神秘性がイマイチ弱かったと感じます。
ストライクビートルがウルトラマンを援護したり、ウルトラマンがW.I.N.R.に対して怪獣から離れるように合図をしたりなど、コミュニケーションが全く無かったわけではないのですが、日本のウルトラマンでありがちな、怪獣に踏みつぶされそうになっているところを身を挺して助けるとか、子供たちの応援でウルトラマンが力を振り絞る、みたいな踏み込んだやりとりが無かったので、良くも悪くも丁度いい存在くらいの距離感で終わってしまっていた印象があります。
テレサ・ベックが第6話や第12、13話でウルトラマンについて分析をしている以外は、蚊帳の外だった感がどうしても拭えず、むしろなんだか、ヒーロー番組というフォーマット時代が確立できていない1966年の時点でウルトラマンと科学特捜隊の関係性をあれだけ描写できていた円谷プロって思っていた以上に凄い事をしていたんじゃないかと考えを改めるくらいでした。
でも、高い金出してBlu-ray BOXを買ったのになんてこったい、という後悔は1mmも無くて、やはり幼稚園時代に観ることができなかった「ウルトラマンパワード」を最後まで観ることができた喜びの方が大きいです。
30年前の幼稚園時代の自分には「今は観れないけど、30年したら観ることになるから安心してね」と言ってあげたいくらいにはよかったと思います。
感想をボロクソ書いておいて今更なんなんだという話ですが、感想は観たからこそ言えるので、世間の評判や他人の受け売りに左右されず、自分の素直な感想が言えるようになった、というのも大きな進歩です。
なんだか、こんないい気分になれるんだったら、Blu-ray BOXが発売された当時の時点で購入しておけばよかったですね。
なんで8年も悩んでいたんでしょうか。
もし、この記事を読んでウルトラマンパワードに興味を持った人や、当時観てたけどもう1回観てみたい人、私のように当時観れなくて30年ぶりにはじめてパワードを観ようかなと思っている人、いろいろいるかもしれませんが、是非Blu-ray BOXを手に取ってみることをオススメします。
内容どうこうはさておき、ウルトラマンパワードにいつでも会えるのは、とても心強いですからね。