特警ウインスペクターとは
平和を愛し
友情を信じ
人の命を守るため犯罪に立ち向かう
警視庁特別救急警察隊のことである
はじめに
1990年2月4日。
35年前の今日、メタルヒーローシリーズ第9作にして、レスキューポリスシリーズ第1作が放送を開始しました。
怪人ではなく犯罪者と戦い、スーパーメカを駆使して災害から人の命を救うヒーローの登場は、平成特撮ヒーロー時代の幕開けとも言えます。
ウインスペクターとの出会い
私とウインスペクターの出会いは、本放送ではなく、レスキューポリス第3作「特捜エクシードラフト」の第47話「正木リターンズ!!」での回想映像でした。
ウインスペクター放送当時はまだ1歳なので記憶が無く、エクシードラフト放送当時の記憶もそんなに無いのですが、胸にタイヤの着いた黄色いロボット(バイクルの事です)が地面を寝そべりながら走ってくる映像が妙に目に焼き付いていました。
ウインスペクターは、今でこそカッコいいと思っているんですが、当時はエクシードラフトのデザインが一番カッコイイと思っていたので、相対的にウインスペクターはカッコ悪く感じていました。
正直、ウインスペクターの記憶ってそれっきりで、エクシードラフトよりも前に放送していたらしい番組くらいの認識のまま、幼稚園、小学生、中学生・・・と成長していきました。
その後、高校生になった頃、デンジマンの記事で書いたような友人間でのVHS発掘ブームの際に、友人が引っ張り出して来たのが、HERO CLUBの「特警ウインスペクター 犯罪捜査ファイル」でした。
正木本部長がウインスペクターの数々の戦いを紹介してくれる総集編ビデオです。
紹介されているエピソードは、第9話「爆弾じかけの犬」、第12話「僕の友達ロボット」、第19話「愛と勇気の父子橋」、第22話「殺人犯は二度死ぬ!」、第23話「父のマンガはがき」だったかと記憶しています。
サブタイトルだけ羅列しても、初めて見る人からするとなんのこっちゃと思うかもしれませんが、ヒーロー番組らしい派手でかっこいい回は案外紹介されず、人情味のある話がフィーチャーされていたように感じます。
特に、第23話「父のマンガはがき」は、出張で遠方にいる父親から送られてくるマンガはがきが突然来なくなった事で事件が発覚するというドラマチックな導入で、いい話だなぁと思いました。
東映チャンネル放送開始!!
飢えをしのぐように総集編ビデオでお茶を濁す日々でしたが、本音ではちゃんとテレビシリーズを観たいわけです。
当時はDVDもまだ発売されていないので、レンタルショップにも並んでいません。
しかし朗報です。
2005年11月よりCSの東映チャンネルで放送が開始されました。
新番組予告からテンションが上ります。
ウインスペクターの新番組予告って、ものすごいカッコいいんです。
ウインスペクターの三人が武器を構え、ポーズを決めて、じわりじわりと歩いてくる映像にナレーションが被さるんですが、物語のあらすじではなく、ウインスペクターがどんな組織なのかしか説明しないので、本当にただカッコいいヒーロー番組がはじまる事しかわからない不思議な新番組予告です。
しびれました。
かっこよすぎて、新番組予告だけ何回も観ましたし、今でもたまに思いついたように新番組予告だけ何回も観るときがあります。
謎の中毒性があります。
ウインスペクターは全49話あるのですが、一番面白いのは新番組予告だと思ってます。
バラエティ豊かな傑作エピソード群
犯罪や災害と戦うウインスペクター。
わかりやすい悪の組織や怪人は出てきません。
新しいヒーローをどんな風に作っていくか試行錯誤していたのだと思うのですが、その分バラエティ豊かな内容で毎回飽きない造りになっていました。
暴走タンクローリーを止める話(第1話)や、特撮ヒーローらしいアクション回(第3話)に、エレベーターの救助作業(第4話)など、考えられる限りのアイデアで第1クールを乗り切ると、2クール目で主人公の愛車ウインスコードのパワーアップに前後して、車を活かした物語(第11話、第14話)も散見されました。
宇宙船に付着して山奥に飛来した宇宙生命体(第17話)や、オカルト的な妖術を使う犯罪者も登場(第27話)するなど、良い意味でなんでもありな作風はマンネリを感じる事なく最終クールまで駆け抜けた感があります。
最終回に関しては、次回作ソルブレインへの橋渡し的な意味合いもあるので、少し物足りなさも感じるところがあるものの、総合的な評価では割といろんな人にオススメできる番組だったんじゃないかと思います。
さいごに
ウインスペクターが放送された1990年は和暦に直すと平成2年。
つまり、昭和から切り替わって間もない時期に放送された番組です。
時代が昭和から平成に変わったからといって、すぐに何もかもが新しいものに切り替わるわけではありませんが、ウインスペクターに関しては、人命救助をアクションの中心に置くという発想で、いち早く新時代のヒーローの創造に成功したのではないかと思います。
ヒーローが立ち向かう障壁として犯罪や災害を設定したことは、宇宙からやってくる未知の悪意とは異なり、作品世界で起こっている出来事がより身近に感じられるものになったでしょうし、それと同時に実際の組織である警察に属するヒーローとして描かれたウインスペクターの存在を、より身近なものとして受け入れられるようにしていたとも思います。
その後、人気を博したウインスペクターは、翌年に特救指令ソルブレイン、翌々年に特捜エクシードラフトという続編に発展し、レスキューポリス三部作と呼ばれるようになりました。