ああ電子戦隊デンジマン、45周年の今こそ響く希望の鐘

ああ電子戦隊デンジマン、45周年の今こそ響く希望の鐘

2025年2月2日

はじめに

電子戦隊デンジマンとは何か?

電子戦隊デンジマンは、1980年2月2日、つまり45年前の今日から放送を開始したテレビ番組で、スーパー戦隊シリーズの第4作にあたります。

宇宙からやってきた侵略者、ベーダー一族に対抗するため、デンジ星のメカニズムを使って立ち向かう五人の若者を描いた物語です。

5色に色分けされた同じデザインのスーツを身に着けたヒーローが協力しながら戦い、巨大ロボに乗り込んで戦う、という現代における戦隊モノのフォーマットはデンジマンで確立されたと言ってよいでしょう。

デンジマンとの出会い

私とデンジマンの出会いは、テレビマガジンの歴代戦隊集合企画でした。

いつの年だったのかはわかりませんが、ゴレンジャーとジャッカー電撃隊が無く、バトルフィーバーJが最初のページを飾っていたので、ダイレンジャー放送当時の戦隊15作記念企画かと思います。

あの頃は、当然ですが現行ヒーローに夢中な時期なので、過去戦隊を観ても、全部同じに見えました。

なにせ、私がスーパー戦隊を観始めたのはジュウレンジャーからなので、マスクに動物の意匠が盛り込まれていないデザインは区別することができなかったんです。

もちろん、その理屈でいくと、動物デザインのサンバルカンやライブマンは子供心に覚えやすかったですね。

そんなわけもあり、過去戦隊が全部同じに見える都合、デンジマンは印象に残らない戦隊でした。

VHS発掘

そんなこんなでデンジマンの事なんて実質知らない状態で何年か経ち、高校生になりました。

映像メディアがVHSからDVDに移行し始めたものの、まだまだVHSの方が隆盛な時代です。

友人間で、押し入れの奥からVHSを発掘して、何が録画されているのかを再生して確認する遊びが流行っていました。

大概は、放送当時録画してそのままになっていたアニメがほとんどでしたが、友人の持ってきたビデオの中にレンタルビデオからダビングされたデンジマンが入っていました。

最初、ラベルに何も書いてなかったので確認のため、何気なく再生してみたら、真っ黒な画面にビームが飛び交い、浮かび上がる電子戦隊デンジマンの文字。

最初は「昔の戦隊か~」としか思いませんでしたが、幼少期に放送していた90年代の戦隊とも、当時放送していた2000年代の戦隊とも異なる雰囲気に一発で虜になりました。

第21話「死神党を攻撃せよ」

そのビデオに収録されていた最初のエピソードです。

ベーダー一族が、秘密結社”死神党”を裏から操り、犯罪行為を行う、と言う内容です。

普段、デンジマンと戦っているのはベーダー一族なのですが、この第21話は、デンジマンと秘密結社が戦うという変わった内容となっており、言うなれば地球人対地球人の戦いが起こっているのです。

その映像はさながら刑事ドラマというかギャング映画というか、実に渋い雰囲気で、とても新鮮でした。

私は「このビデオ貸してくれ!!」と友人からデンジマンのダビングされたVHSを借りて、自宅に持ち帰り、友人に返すまで何度も観ていました。

借りたVHSには、第21話から第23話までが収録されていたので、VHS第11巻だった事があとからわかりました。

第22話「超時間ふしぎ体験」

VHSに収録されていた2本目のエピソードです。

この回は、とにかく映像的アイデアとセンスがズバ抜けて高く、何度見ても飽きませんでした。

物語のあらすじは、ベーダー一族の怪物タイムラーが、時間を自由に操り、刑務所から誘拐してきた凶悪犯の遺伝子を退化させ、原始人部隊を作り出そうとするお話です。

第21話は秘密結社を利用し、第22話では凶悪犯を怪物にしてしまおうという、人間社会の闇の部分に焦点を当てた作風が、今まで観てきた戦隊には無かったので、とにかく新鮮でした。

また、この回は戦闘シーンが大変面白いのも魅力的です。

ハイジャンプで建物の上に飛び乗ろうとしたデンジブルーを、タイムラーが時間を巻き戻して建物のくぼみに落としてしまったり、デンジイエローが戦闘員ダストラーを建物の上から放り投げたかと思ったら、タイムラーが投げ飛ばされる前まで時間を戻して、今度は逆にデンジイエローが投げ飛ばされてしまう、という面白いやりとりが、フィルムの逆再生というシンプルなテクニックで展開されます。

そして、タイムラーの時間操作攻撃に対抗するデンジマンの秘密兵器、デンジスーパーサイエンス。

これはデンジマンの頭部メカニックから光線が発射されると、タイムラーが時間操作を行えなくなる不思議な空間が発生する、どういう原理で何がどうなってるのかよくわからないものなんですが、表現としてはデンジマンがタイムラーに猛攻撃をしかける映像をネガ反転させているだけで、これもまたものすごいシンプルなアイデアです。

この回の表現が個人的なツボに入りすぎて、第22話をかなりの名作だと思っているのですが、世間的には案外そうでも無く、隠れた傑作エピソードみたいに評価している人も見つかりません。

DVD購入

VHSに収録されていた3話だけでは満足できない私は、DVDを購入することに。

今思うと、なにやってたんだか、と思うのですが、当時はネット配信なんて無い時代、映像ソフトを購入でもしないと過去戦隊を観ることはできませんでした。

1巻9,800円で全6巻あるので、高校生には高すぎる買い物でしたが、当時はそれだけ熱があったという事なんでしょうね。

と、いうわけでデンジマンを全話観てみることにしたのですが、思っていたのと違いました。

VHSの11巻に収録されていた内容が割と硬派だったので、そんな感じのエピソードで毎回構成されていると思ったんですが、なんだかそこまで凄い作品ではなく、純粋なヒーロー物の平均値だったような気がします。

これは単に、DVDを購入するのにお金を使っている以上、費用分の見返りを求めてしまった、というのもあるかもしれません。

数年後にいろいろな特撮作品に触れていった結果、映像ソフトとして手元に残しておくべきは本当に思い入れのある作品だけにして、デンジマンは手放そうと思い、売却してしまったので、結果的には無駄遣いをしてしまったことになるのですが、人生にはこういう、何かよくわからない事にお金を使ってしまった経験も大事だと思います。

ヒーローとしてのデンジマン

さて、個人的な想い出話ばかりでデンジマン自体を振り返っていなかったので、本題に入りましょう。

電子戦隊デンジマン

最初に書いた通り、戦隊ヒーローを大多数の人が思いつくような戦隊モノっぽい雰囲気したのはデンジマンからだと思っているわけですが、デザイン面では後続のスーパー戦隊にも引けを取らない強烈な個性を持っています。

特徴的なのはマスクデザイン。

大体の戦隊ヒーローのマスクが、ゴーグル部分がヘルメットの中に一段内側に埋まっているような形状になっているのに対し、デンジマンはヘルメット本体とゴーグル部分がツライチになっています。

バイクのヘルメットのようなカッコよさと、サングラスをかけたようなカッコよさが同居するとてもクールな印象をうけます。

スーツデザインも、デンジレッドからピンクにかけて、胴体に引かれた白ラインの数が順番に増えていくという、ゴレンジャー的要素を踏襲しています。

70年代的発想で考えられたゴレンジャーのデザインコンセプトを、80年代的にアレンジした傑作と言えます。

アクションも印象的です。

空中での宙返りや、デンジジャンプ、デンジダッシュなど、飛行能力や特殊能力を用いず、身体能力だけでアッと言う間に長距離を移動する描写が度々挿入され、格闘シーンも非常にスピーディ。

エフェクトの合成も無く、撮り方やカット割りなどのシンプルな手法で生み出される奇抜な映像表現が、デンジマンの強さを印象付けていたと思います。

ダイデンジン

デンジマンの乗り込む巨大ロボットです。

万能戦艦デンジタイガーで輸送され、戦場に着くと戦闘機デンジファイターが発進し、ダイデンジンに変形するというプロセスで巨大戦に移行します。

平成初期には無くなっていた巨大母艦の文化も、デンジマンの頃は最盛期でした。

巨大母艦の要素自体は前作バトルフィーバーJが初登場ですが、戦艦が半分に割れて中からロボットが出てくるというギミックに対し、戦艦の前方がパカッと開いてデンジファイターが出てくる、という機能的なギミックになったので、巨大戦への移行がスタイリッシュになったと思います。

玩具的にも遊んでいて楽しいギミックだと思います。

私の観ていた戦隊は、ファンタジー戦隊に移行していく過渡期で、巨大母艦はとっくの昔に廃れ、戦隊メンバーが呼べば、どこからともなく出てくるという形式だったので、巨大母艦は非常に新鮮でした。

巨大戦も魅力的でした。

機敏に動くベーダー怪物に対して、重厚にノソノソと動くダイデンジンが強烈なパンチをお見舞いする、というメリハリのある戦闘が飽きませんでした。

2クール目くらいになると、ベーダー怪物の攻撃を「デンジ〇〇返し」の一言で跳ね返して一気に逆転してしまう、なんていう面白いパターンも生まれました。

昨今の戦隊だと、意思を持ち、戦隊メンバーと交流するロボも多くいますが、当時は本当にただの物言わぬロボットばかりで、それでもダイデンジンは挙動の面白さなどから妙に愛着がある不思議なロボットです。

敵キャラ ベーダー一族

地球をヘドロまみれにするために侵略を行う宇宙人です。

美しいものを嫌い、ヘドロと一酸化炭素を好むという、なんか悪い事をさせるためだけに用意されたような設定で構成されたキャラクターなんですが、ベーダー一族特有の美学みたいなものもあるので、生物的な特性とか知的生命体としての文化的背景が違うだけだから、もうすこしその辺丁寧に描写していれば印象も変わったのかなぁ、みたいなのを感じます。

怪人デザインも面白く、身体の中心線を境にして、半身は内臓や汚物を彷彿とさせるグロテスクなディテール、もう半身は通常の生物・機械的なスラリとしたディテールで構成されており、人体模型的な不気味さを醸し出しています。

人によっては見ていて嫌な気分になるかもしれませんが、なんだかある種の芸術性も感じて、私は結構好きです。

身体の大きさも自由に変えることができ、いきなり巨大化して登場したかと思ったら、急に小さくなって人間サイズで暗躍したり、などトリッキーに活動します。

最後はベーダー一族内での内乱によって内部崩壊する形になっており、デンジマンが直接倒した幹部は側近のヘドラー将軍だけ、最終決戦の相手は反乱を起こしたバンリキ魔王とバンリキモンスに取って代わられてしまったというのが、少し消化不良だったかなとも思います。

さいごに

デンジマンは何をもたらしたか

デンジマンはある種、自分の人生の方向性を変えてしまった作品だと言えます。

それまでスーパー戦隊シリーズなんて、小さいころに観てた番組くらいの認識でしかなかったのに、何故だか妙にハマってしまって、今では48作品中43作品は視聴完了しているくらいにはスーパー戦隊大好き人間になってしまいました。

元をたどれば、幼稚園児の頃に観ていた戦隊が前提にこそあるものの、それ以降は年々新しくなっていく戦隊を観るばかりで、過去作がどうなっているかなんて考えたことも無い時に、自分が生まれる前の戦隊を偶然にも観ることができたのは、とてもよいきっかけだったと思います。

私が幼少期を過ごした平成初期の時点で、ロボットはパワーアップ合体をする仕組みが定例行事となっており、武器も続々と新しいものが投入されていくのが普通でした。

そんな中で観たデンジマンは、戦隊モノの非常にシンプルな、芽とも卵とも言える作品でした。

ロボットも1体しかないし、武器が合体するわけでもない、1年をかけた壮大な縦軸の話があるわけでもない、商品展開に内容が左右されるわけでもなく、純粋な物語性だけで繰り広げられるデンジマンの世界は、私にある種ヒーロー番組とはどういうものか、という認識を改めさせてくれたとも言えます。

これは平成世代の私の感想ですが、対して当時デンジマンを新しいヒーローとして受け入れた直撃世代の方にとっては特撮ヒーローの新しい時代がはじまったように見えたかもしれません。

第1作の秘密戦隊ゴレンジャーから第3作のバトルフィーバーJまで、地球人の公的組織が結成したある一つの特殊部隊のような位置づけだったものが、第4作のデンジマンで、宇宙の科学力を身に着けた一般人が戦う、という全く新しいものになりました。

デンジマンになるにはデンジ星人の末裔であることが条件ではあるんですが、これは、運命的な要因によって自分も不思議な力を身に着け、ヒーローになれるかもしれない、という可能性を視聴者に感じさせるものであります。

ある種のなろう系的であるとも言えます。

今年はスーパー戦隊50周年。2週間後にゴジュウジャーの放送が控えていますが、製作発表会にもデンジマンが姿を現しました。

果たして、ゴジュウジャーでもデンジマンは扱われるのか?少し気になっているところです。