第2話「人喰い蛾」

自動車メーカー(マルス自動車)の設計技師が次々に白骨化して変死する怪事件が発生。
生き物の骨以外の全器官を分解してしまうチラス菌の作用によるものだったが、自動車のモデルチェンジに絡む派閥争いが隠れていた。
・・・というのが第2話のあらすじ。
今回のタイトルは人喰い蛾とありますが、実際には蛾に付着した鱗粉が人を溶かしているだけで、蛾が直接人を食べているわけではないです。言うまでの無いですが、ただの比喩表現です。
本放送は1968年9月22日。
脚本は、「ウルトラQ」、「ウルトラマン」、「ウルトラセブン」でメインストーリーを担当した金城哲夫氏。監督は、特撮の神様である円谷英二の息子にして、ウルトラシリーズで数々の特撮を監督した円谷一氏です。
当初は第1話として放送される予定だったエピソードですが、特撮部分の仕上がりがNGとなったので、リテイクにあたって第2話に遅らせた経緯があります。
今回の感想では、本放送第1話の「壁ぬけ男」と比較しながら、第1話として適切だったのはどっちなのだろうか?というところについても考えていきたいと思います。
物語
今回は、蛾が光に集まる性質を利用して犯罪が行われる都合、夜の場面が多く、大人っぽい雰囲気と同時に恐怖感を煽る映像に仕上がっていると言えます。
前回同様、警視庁の町田警部がSRIに捜査の協力を依頼する形で物語がはじまりますが、SRIのメンバーがテロップを表示しながら次から次にメインルームに集まってくる第1話の映像に比べると、SRIメンバーの印象が弱く感じるかもしれません。(三沢と野村が部屋に一緒に入ってくるせいで、どうも二人一組扱いに見えてしまう)
また、三沢が突飛な推理をして、それを牧が諫めるというくだりが第1話と第2話で連続して描かれますが、三沢の推理が「キングアラジン」では外れ、「人喰い蛾」では当たっているという展開なので、それなら「三沢の推理もたまには当たる」みたいな印象になる実際の放送順でよかったと感じます。
(前後の繋がりが無く、スグに観返すことのできない1話完結ドラマでこんなことを言うのは野暮かもしれませんが・・・)
なんか似たような事をウルトラQの第3話でも感じた気がします。
人喰い蛾
人喰い蛾とは言っていますが、鱗粉に組み込まれたチラス菌が人を溶かしているので、蛾自体はただ飛んでくるだけです。
しかし不思議なのは、チラス菌が骨以外の器官を溶かす設定なのに、蛾の身体組織は全く影響を受けていないところです。生物学的な部分で、昆虫と人間(哺乳類)の組織は異なるんでしょうかね。
ビジュアル的には暗闇の中を蛾がバタバタと飛んでくるので、とても不気味です。
本物の蛾ではなく造り物なのですが、画面映えするようにしているのか割と大き目に作られています。これくらい大きな蛾は自然界にも存在するのですが、流石にこんな大群で飛んできたら恐ろしいです。
敵キャラクターとしては直接倒される描写が無く、場面が切り替わったらフェードアウトするように物語から消えるので、自滅ではありながら明確に絶命する描写がある第1話のキングアラジンに比べると消化不良感はあるかもしれないです。
特撮
今回は、チラス菌によって人体が溶けていく描写が特撮で描かれています。
倒れた人に泡がブクブクとうごめく映像が合成され、次のカットで泡がおさまっていくと頭蓋骨が浮かび上がり、最後に残った肉片がドロリと骨の表面を滑り落ちていく、という手の込んだものです。
キレイに骨だけが残るのではなくて、骨の表面に生前の血液のような赤い色が残っているところもホラー描写を強めています。
この生々しさが、ただ単純な恐怖というよりも、犠牲者に対する悲哀のような感情を掻き立てる要因にもなっており、絶妙な塩梅です。
これは前述の通り、一度作られたものがNGとなって作り直されたものなのですが、それだけあってよくできています。
この作り直しによって第1話放送には間に合わなかったわけですが、これがそのまま第1話で放送されていたら、流石に怖すぎたかもしれません。
サブタイトルも見逃せません。
特撮、と言うにはテロップが消えるだけの表現ですが、「人喰い蛾」と書かれた文字が、シュワシュワ~っと削れていくように消えるアニメーションは物語の雰囲気にあっています。
文字が消えるタイミングも、「人喰い」の部分が先に消えて、「蛾」の部分が1テンポ遅れて後から消えるのも、何かを暗喩しているようで不気味です。
まとめ
本来第1話を予定して作られていたエピソードでしたが、ちょっとわかりづらいところもあるので、第2話でよかったんじゃないかなと思う回でした。
また、第1話では人間が犯罪に手を染めるに至るバックボーンまで描かれていたのに対して、今回はどんな犯罪か?という部分だけで収まってしまっている感もあり、初期に製作されたエピソードだという部分を踏まえても、怪奇大作戦本来の持ち味を出すには成り切れていない惜しさも感じました。
全話を観ていく中で、この回に対する自分の中の評価も変わっていくと思いますが、機会があったら改めて観直してみたいです。

