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第2話「五郎とゴロー」

1966年1月9日に放送したエピソードです。
巨大化した猿が登場する、ということで、第1話の怪獣然としたゴメスに比べるとイマイチインパクトが薄いような気がしたんですが、改めて観てみると、ちゃんと怪獣モノとして申し分無い回でした。
物語
食べ物の影響で巨大化してしまった猿を、殺さずに南国の島に送り届ける為に人類が奮闘するという内容で、怪獣モノらしい派手さは無いんですが、それもそれで不思議な世界(アンバランスゾーン)を描くウルトラQらしい作風だと言えます。
「お茶の間でも怪獣が観られる」というコンセプトを満たしながら、当初の予定通りミステリー物としての要素を多く含んでいると考えれば、堅実な造りです。
ウルトラQは製作順と放送順が異なるのが大きな特徴ですが、順番がシャッフルされているとはいえ、人類を襲う怪獣(ゴメス)、人類に味方する怪獣(リトラ)と来て、悪意の無い怪獣(ゴロー)が登場するというのはバラエティに富んでいて面白いですね。
リトラに関しては結果的に人類の味方に見えるポジションにいただけなので、リトラ自身も単体で登場していたら人類の敵になっていた可能性は大いにありますが。
巨大猿ゴロー
今回登場する怪獣です。
怪獣というか、猿が巨大化しただけなので、これを怪獣に含んでしまってよいのか、非常に認めづらいのですが、後年の作品で、どこからどうみてもセミが大きくなっただけの怪獣(キングゼミラ)もいたりするので、巨大猿を怪獣として認めてあげないのはかわいそうだなぁ、と思ったり。
この巨大猿ゴロー。設定身長は50mあるのですが、ちょっとこれ盛りすぎですね。
クライマックスで街中に現れたときに持ち上げるパトカーのミニチュアが大きすぎるので、多分20mくらいしかないんじゃないかと思います。
そうそう、ゴローといえば、私が幼い頃に放送していた5分番組「ウルトラマンM730 ウルトラ怪獣攻げき技大図鑑」で紹介されたことがあるんですが、電線を掴んで火花が散ったことにビックリしてすぐ隣にあったビルをたたき壊す映像が、ゴローの攻撃技として解説されていました。
子供心に「凄い恐ろしい奴だ」と思ったものですが、映像をちゃんと観ると、腕を3回振ってるうち、ビルに当たってるのは最後の1回だけで、壊れ具合も壁がちょっともげるくらいであんまり迫力のある破壊シーンではなかったので、他に紹介できる技があるんじゃないかと思いました。
この「ウルトラマンM730 ウルトラ怪獣攻げき技大図鑑」も、放送された記録が残ってるだけで、今では視聴する方法が無いのがなんとも残念です。
母親にVHSに録画してもらって毎日のように観ていたんですが、そのVHSも上書きして消えてしまったので、残っていたら貴重な映像資料になっていたことでしょう。
特撮
冒頭、実物の淡島ロープウェイが映る場面があり、しばらくずっと実景の映像が続くのですが、ゴローが出現する瞬間、急に特撮セットになります。このつなぎがものすごい見事で、怪獣が動いているのでスグ特撮に切り替わったことはわかるんですが、それでも映像のインパクトが凄すぎて実景と区別がつきませんでした。
素晴らしいです。
モノクロ映像だから、実景と特撮の質の違いがわかりずらかっただけかなと思い、総天然色版でも観直してみたんですが、山のセットの奥行きがすごいんですね。こんな大きなセット、よく作ったなぁと思うくらい、ゴローが小さく見えるくらいに山のセットが大きいんです。そりゃ実景と間違えるわけです。
この場面以外にも、本編映像で俳優さんが演技している山の中でカメラがスルスル~っとパンすると、さりげなく特撮セットに切り替わって、茂みの中で座り込んでいるゴローの映像に繋がるんですが、これがまたものすごい違和感が無いんです。
とにかくこの回は本編と特撮の境界面が非常に曖昧、どこまでが本物でどこまでが特撮なのかよくわからない。(いや、わかるんですが)
ウルトラQ的な言い方をすると、アンバランスゾーンというわけですね。
本当にすごいです。
まとめ
連続モノの第2話って、第1話の設定を発展させた名編になる事もあれば、第1話のインパクトを越えられずに及第点止まりの地味な回になる事もありえるわけですが、ウルトラQの第2話に関しては、第1話とは違った方向性で牧歌的にまとまった回かなぁ、という印象です。
現代の価値観で観るとどうしても地味に見えてしまうところは致し方ないので、放送当時の状況や環境を考慮しながら観るとかしないと、ちゃんとした評価はできないですね。
そりゃ、今の目で観ても面白ければまず間違いなく素晴らしいんですが。
でも、悪意の無い怪獣は生きたまま人類の手の届かない所に帰してあげる、という後々のウルトラマンでも度々見られるシチュエーションが第2話で早速描かれているというのは、とても良いことだと思います。
こういう話を全28話あるうちの真ん中あたりのエピソードでやると「たまにはそういう事もあるか」という印象で終わってしまうんですが、視聴者側の認識が確立できていない第2話という初期エピソードの時点で、怪獣を倒さないエピソードがあることによって、今後の方向性や期待感の広がりがかなり変わってくるんじゃないかと思います。

