特撮サントラ超歴史 ~④躍進編~(1985-1986)

特撮サントラ超歴史 ~④躍進編~(1985-1986)

前回の記事

特撮サントラを発売順に振り返る、超歴史3~復活編~
つい先日、「特撮サントラを発売順に振り返る、超歴史2~苦闘編~」という記事を書きました。 https://shu-yashiro.com/tokusathu_o…
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1985年~第二期特撮サントラバブル到来!~

70年代末期に沢山のアルバムが発売されたものの、80年代前半に落ち込んだ特撮サントラは、1983年の歌と音楽の混合アルバムのリリースを経て、1984年には再びBGM集単体でのアルバムがリリースされるようになりました。

今回は70年代末期のような組曲形式ではなく、純粋なBGM集という形式になっており、時代の変化を感じます。

兄弟拳バイクロッサー(1985年1月10日~1985年9月26日放送、全38回)

東映がスーパー戦隊シリーズや宇宙刑事シリーズとは別の枠で製作していた特撮ヒーロー、それが「兄弟拳バイクロッサー」です。

宇宙的スケールの戦隊や宇宙刑事と異なり、私腹を肥やす悪党を相手に一般人の兄弟がヒーローに変身して立ち向かっていくという、町内レベルのスケール感で繰り広げられる内容です。

物語の舞台も、主人公の周辺近所の人間関係に限定されており、また、一般的に主人公の私生活を詳細に描かない特撮ヒーロー番組において、兄は模型作り、弟はコンピュータゲーム等、普段何をして暮らしているのかが具体的に描かれているのもポイントです。

スーパー戦隊のような巨大ロボや、宇宙刑事のような異次元空間の特撮はありませんが、毎回のように兄弟で繰り出す軽快なコンビネーション技の数々や、弟の乗ったバイクを兄が担いで必殺技を放つなどの、独特なビジュアルが強烈な個性を醸し出していました。

兄弟拳バイクロッサー BGM

アニメージュレコード

音楽:菊池俊輔

23AGL-3001

1985年2月25日発売

当時価格 ¥2,300

バイクロッサーの音楽は、70年代に数々の特撮ヒーロー番組の音楽を担当した菊池俊輔氏が登板しています。80年代に入ってからは「仮面ライダースーパー1」で音楽を担当して以来、「10号誕生!仮面ライダー全員集合!!」や「アンドロメロス」で主題歌を作曲する程度にとどまっていた菊池俊輔氏の久しぶりのBGMです。

内容は、BGM40曲に主題歌・副主題歌を収録した合計42曲。

BGMも主題歌アレンジが多く、耳に馴染んだメロディを楽しむことができることをはじめとして、バイクロッサー登場シーンに流れるM-44Bや、ブレーザーカノン発射シーンで流れるM-17など、毎回のように流れる主要なBGMは網羅されているので、満足度が高いです。

電撃戦隊チェンジマン(1985年2月2日~1986年2月22日放送、全55話)

スーパー戦隊シリーズは第9作目「電撃戦隊チェンジマン」を放送。

全宇宙の支配を企む大星団ゴズマに対抗するため、地球が自らの危機を感じたときに発生させるエネルギー、アースフォースを身に着けた5人の若者がチェンジマンに変身して戦う物語です。

オーソドックスな戦隊モノの雰囲気をそのままに、地球侵略の為に襲来する様々な宇宙人とも、戦いの中で心を通わせ団結し、最終的に大星団ゴズマに加担していたメンバーが自らを支配していた巨悪を打ち倒す為にチェンジマンに協力するなど、宇宙的スケールのドラマが好評を博しました。

チェンジマンの音楽は、前作バイオマンに引き続き矢野立美氏が担当。

巨大ロボの重厚感を表現したバイオマンに対し、チェンジマンでは高らかに鳴り響くオーケストラが宇宙的な広がりを表現していました。

電撃戦隊チェンジマン 音楽集

コロムビア

音楽:矢野立美

CX7220

1985年6月21日発売

当時価格 ¥2,500

バイオマン同様、チェンジマンも音楽集が発売されました。

ジャケット写真は、合体武器パワーバズーカを構えたチェンジマンです。

チェンジマンでは、個人武器が合体する必殺武器がはじめて導入されたスーパー戦隊ですが、これがジャケットに非常に映える象徴的な写真でした。

前作バイオマンの音楽集も合体技(ミラクルレーザー)を使う時の写真が使われていたので、このイメージを踏襲したと言えます。

前作バイオマンの音楽集は、物語的なまとまりを持った完成度の高いアルバムでしたが、チェンジマン音楽集も1曲1曲のパワーでは負けておらず、むしろ新しい取り組みが行われています。

特筆すべきは、主題歌のTVサイズ版の収録です。

チェンジマン音楽集では、主題歌である「電撃戦隊チェンジマン」をTVサイズ、副主題歌である「NEVER STOP チェンジマン」を1コーラスで収録しており、これによって余った時間を、よりBGMの収録に充てることができています。

特に恩恵を受けているのが主題歌のインスト版でしょう。

主題歌のボーカル部分を楽器に演奏させたもので、チェンジマンに限らず特撮やアニメでほぼ確実に製作され、歌入りと使い分けて効果的に使用される曲です。

劇中での印象的な使われ方から、ウルトラマンシリーズや仮面ライダーシリーズなどの、往年の人気作品がサントラ化される際には必ずと言っていいほど収録されたものですが、現行放送中の番組のサントラには、メロディが重複するからなのか、なかなか収録されないものでした。

これが今回、チェンジマンではじめて収録されるようになり、より劇中の雰囲気を楽しめるようになったわけです。

主題歌以外のBGMに関しても、高らかに歌い上げるトランペットのメインメロディの力強さと、それをサポートする重い弦楽器のシリアスなうねりがチェンジマンの置かれている敗北の許されない状況を物語っており、アルバムとしても非常に聴き応えがあります。

必聴は、B面トラック6の「シャトルベース発進」です。

母艦メカシャトルベースのテーマであるM-12Bと、チェンジロボの合体シーンで流れるM-17の2曲で構成されたトラックで、初期エピソードの巨大メカ活躍シーンに選曲されていたものの、第5話から早々に挿入歌「ファイト!チェンジロボ」が流れるようになって以降、劇中で流れる機会が極端に減ってしまったトラックです。

ロボのカッコ良さを前面に押し出した「ファイト!チェンジロボ」と異なり、M-12BとM-17は空を優雅に飛ぶメカの清涼感と重厚感が混ざり合った名曲であると言えます。

こんな良い曲が劇中であまり流れないというのは少し寂しいですが、毎週のように放送を観る低年齢層にはカッコイイ挿入歌を楽しんでもらい、BGM集を購入するようなハイティーン層には音楽を楽しんでもらうという、ターゲットを意識した気配りではないかと考察する次第です。

巨獣特捜ジャスピオン(1985年3月15日~1986年3月24日放送、全46話)

宇宙刑事シリーズは三部作で終了し、同系統のコンバットスーツ形式の新ヒーロー「巨獣特捜ジャスピオン」の放送を開始。

基本的な雰囲気は宇宙刑事シリーズを踏襲しているものの、魔空空間や幻夢界のような異次元での戦闘は無くなり、スーパー戦隊シリーズ同様に番組のクライマックスに巨大ロボ戦闘巨人ダイレオンの戦いが盛り込まれたのが特徴です。

スーパー戦隊と異なるのは、人間サイズで戦っていた怪人が巨大化してロボと戦うのではなく、人間サイズの悪役マッドギャランが地球に眠っている巨獣を目覚めさせて暴れさせる、という構成になっており、これを阻止しようとするジャスピオンとマッドギャランの小競り合いが、これまでの特撮ヒーロー物にありがちなワンパターンを脱しており、大変魅力的でした。

チェンジマンの巨大戦が少し通過儀礼的に処理されてしまっていた感があるものの、ジャスピオンの巨大戦はかなり力が入れられており、巨大ロボが宙返りをするなど、戦隊ロボには無かったアクションを行うことで、上手く差別化できており面白かったです。

巨獣特捜ジャスピオン 音楽集

コロムビア

音楽:渡辺宙明

CX7229

1985年7月21日発売

当時価格 ¥2,500

ジャスピオンの音楽は、宇宙刑事三部作に引き続き渡辺宙明氏が担当。

音楽も宇宙刑事三部作から方向性を変え、重く鈍い音が野性的に鳴り響くジャスピオンのアクションテーマや、金属的な冷たく不気味なサタンゴースのテーマなど、重い音を軽快に鳴らす独特のBGMが印象的です。

番組の構成上、巨獣は悪側に属していますが、実際にはサタンゴーネに操られているだけの、実質は第三勢力的な立ち位置にあるため、巨獣用のテーマは、これまでの悪のテーマとは違った、生物的で荒々しい奥深いものとなっており、アルバムの聴きどころだと言えます。

アルバムの最初と最後に収録されるオープニングテーマとエンディングテーマは英語verになっており、本来の対象年齢よりも一段高い層を狙ったクールな雰囲気を醸し出しています。

ここで話す程の事ではないかもしれませんが、日本の特撮ヒーロー番組はブラジルでも放送されており、その中でも1988年に放送された「巨獣特捜ジャスピオン」は、大人気のキャラクターとなりました。

この事から、ブラジルでは日本人が何か偉業を成し遂げると、敬愛の意を込めて「ジャスピオン!」と呼ばれるそうです。

ジャスピオン人気は現在でも健在で、SNSではジャスピオンのコスプレをした人が街中を練り歩く動画が投稿されているなど、現地の人々にとってはかなりポピュラーなキャラクターであることが伺えます。

宇宙刑事シリーズ

宇宙刑事シリーズの放送は終了しましたが、ファン人気は強く、放送終了から半年近く経った頃に総集編アルバムが発売されました。

それがこの「SFXスペシャル 宇宙刑事グラフィティ 総集編」です。

SFXスペシャル 宇宙刑事グラフィティ 総集編

コロムビア

音楽:渡辺宙明

CX-7237

1985年8月21日発売

当時価格 ¥2,500

ギャバン、シャリバン、シャイダーの三作品から、過去に発売されたサントラでの未収録曲を補完するような形で構成されています。

この頃、アニメ作品では未収録BGM集のリリースが行われており、コンセプトはこれに近いのですが、この宇宙刑事グラフィティはライナーノーツに未収録BGM集にありがちな曲解説は無く、登場人物のプロフィールや写真で構成されていることから、BGMが好きな人のためのアルバムというよりは、宇宙刑事シリーズを3年間応援してくれたファンのためのファンディスクと言った趣を感じさせます。

しかし、収録内容はなかなか良い塩梅でまとまっており、ギャバンからは主題歌・挿入歌のインスト版、シャリバン、シャイダーからは音楽集に未収録のBGMが数曲収録。

シャイダーからの収録曲が少な目で、少し割を喰らっている感もありますが、シャリバン音楽集で日の目を見ることのなかったBGMが収録されたり、劇中で印象的に使用されていたインスト版をアルバムでいつでも聴くことができる状態になったのは非常に嬉しい事であります。

挿入歌のインスト版というのは、BGMとして非常に印象深い曲でありながら、サントラを作る際に止むを得ず省かれがちだったので、このような機会でもないと収録は叶わないものでした。

仮面ライダーシリーズ

84年の年末にテレビオリジナルBGMコレクションが発売された仮面ライダーが、85年に入ってから続編を4作目までリリース。

テレビオリジナルBGMコレクション
仮面ライダーⅡ
X・アマゾン・ストロンガー編

コロムビア

音楽:菊池俊輔

CX-7219

1985年5月21日

当時価格 ¥2,500

5月発売のⅡは、「仮面ライダーX」、「仮面ライダーアマゾン」、「仮面ライダーストロンガー」の三作品から収録。1作品あたりのボリュームは必然的に少なくなってしまったものの、アクションテーマ、悪のテーマ、日常テーマがバランスよくチョイスされており、無理矢理詰め込んだような悪印象はありません。

しかし、ストロンガー特有の問題である、音楽テープ紛失が痛手となっており、現存しているテープに収録されている分からの収録のみに留まっています。
(このテープは2026年現在になっても未だ発見されていません)

テレビオリジナルBGMコレクション
仮面ライダーⅢ
スカイライダー・スーパー1・ZX編

コロムビア

音楽:菊池俊輔

CX-7236

1985年8月21日

当時価格 ¥2,500

8月発売のⅢには、「仮面ライダー(スカイライダー)」「仮面ライダースーパー1」「10号誕生!仮面ライダー全員集合!!」の三作品から収録。

スカイライダーの映画用BGMや、スーパー1のBGMなど、本放送時に商品化されなかった曲が楽しめるようになったのは大きいです。

なお、ZX編にあたる「10号誕生!仮面ライダー全員集合!!」は、この特番のために新録されたBGMは無く、主題歌とそのインストルメンタル版のみであった都合、劇中で使用された過去作からの流用曲がZX用のBGMとして収録されました。

再販なので少し目立ちませんが、10月にはスカイライダーのサントラ「組曲 仮面ライダー」も発売。

テレビオリジナルBGMコレクション
仮面ライダーⅣ
未収録・総集編

コロムビア

音楽:菊池俊輔

CX-7256

1985年12月21日

当時価格 ¥2,500

続く、12月に発売されたⅣは未収録・総集編編と題して、過去に発売されたテレビオリジナルBGMコレクションに収録されなかった曲のうち、印象的なものや、主題歌・挿入歌のインスト版が収録されています。

収録曲は、第1作「仮面ライダー」から第8作目「10号誕生!仮面ライダー全員集合!!」までの全作の中からチョイスされており、これ一枚だけで全ての仮面ライダーの歴史をなぞる事ができる名盤とも言えます。

未収録編というと、劇中で、ここぞという時に流れるものの、使用頻度的にはイマイチな印象の曲が収録される、言うなればマニア向けのオマケ的な雰囲気が感じられますが、仮面ライダーの未収録編に関しては挿入歌インストの収録が多く、それこそライトユーザーが楽しめるくらいのポテンシャルを持っていると言っても差支えの無い、本当の意味でのイイトコ取りなアルバムであると言えます。

1985年に発売したその他のサントラ

東宝映画 ゴジラ 完全限定盤 2月5日
ウルトラオリジナルBGMコレクション スペシャルアルバム ウルトラマン 2月5日
SF映画の世界 FANTASY WORLD OF JAPANESE PICTURES PART 1 2月21日
SF映画の世界 FANTASY WORLD OF JAPANESE PICTURES PART 2 2月21日
SF映画の世界 FANTASY WORLD OF JAPANESE PICTURES PART 3 2月21日
ゴジラ2 オリジナルサウンドトラック(復刻版) 3月5日
SF映画の世界 FANTASY WORLD OF JAPANESE PICTURES PART 4 4月21日
SF映画の世界 FANTASY WORLD OF JAPANESE PICTURES PART 5 4月21日
SF映画の世界 FANTASY WORLD OF JAPANESE PICTURES PART 6 4月21日
ゴジラ3 オリジナルサウンドトラック(復刻版) 4月21日
SF特撮テレビ音楽全集1 ミラーマン 1985年5月21日
SF特撮テレビ音楽全集6 悪魔くん 1985年7月21日
ゴジラ外側 -流星人間ゾーン- 1985年7月21日
SF特撮テレビ音楽全集10 水木しげるの幻想世界 1985年8月5日
特撮スペシャル組曲 仮面ライダー ~スカイライダーBGM編~ 1985年10月21日
SF特撮TV音楽全集11 ゲゲゲの鬼太郎 1985年10月21日
特撮テレビ音楽大全集 7 キャプテン・ウルトラ 1985年11月21日
SF特撮TV音楽全集4 ファイヤーマン 1985年11月21日

1986年~大躍進!セカンドアルバム!!~

沢山のサントラが発売され、大いに盛り上がった1985年でしたが、その反動で1986年は年間を通しての発売本数が少なくなりました。

この年に発売されたサントラを見てみると、こと円谷プロの作品群においては、「怪奇大作戦」&「ウルトラセブン」や、「ジャンボーグA」&「恐怖劇場アンバランス」等、ジャンルの異なる作品同士を抱き合わせたアルバムのリリースが目立ちます。

また、東映作品に目を向けると、「特撮ヒーロー サウンドグラフィティ」というオムニバスアルバムがリリースされています。基本的には主題歌等の歌モノをまとめたアルバムですが、数曲だけBGMが収録されているなど、隙間でファンのニーズを満たすかのような試みが行われていました。

素人目線でも、ある程度出せるものは出し切ってしまったからこそ、どうにかしてファンのニーズを満たそうとするための試みが行われており、特撮サントラ界が次の時代へ向けて変化していく模索の年だったのではないかと思わざるを得ないです。

超新星フラッシュマン(1986年3月1日~1987年2月21日放送、全50話)

仮面ライダーシリーズが終了したり、宇宙刑事シリーズがロボ対怪獣路線のジャスピオンに作風を変化させていく中で、スーパー戦隊シリーズは順調に新作を放送。
第10作目「超新星フラッシュマン」は、前作「電撃戦隊チェンジマン」の宇宙的スケール感を発展させた新たな挑戦だと言えます。

フラッシュマンに変身する5人は、かつて宇宙人に誘拐された地球人であり、善良な宇宙人フラッシュ星人に助けられ育てられるものの、改造実験帝国メスが生まれ故郷である地球を侵略する事を知り、その企みを阻止するため、はるばる帰ってきたという設定です。
フラッシュマンは改造実験帝国メスと戦いながら、生き別れた自らの両親を捜し、再会することも目的としており、悪を倒すメインストーリーに付随するサブストーリーとして位置づけられました。

このようなサブストーリーは、過去作でも「人造人間キカイダー」における光明寺リツ子とマサルの父親捜しや、「宇宙刑事ギャバン」における父ボイサーの捜索と似ていますが、これらが悪との戦いに直接影響する実質的なメインストーリーであったのに対して、フラッシュマンの親捜しは悪との戦いに影響しない、彼らの個人的な目的であるということが大きな特徴でした。

そんなフラッシュマンの音楽は、バイオマンやチェンジマンの音楽を担当した矢野立美氏から推薦された田中公平氏が担当しています。

田中氏は、過去に東映特撮ヒーロー(シャイダー、バイオマン、チェンジマン)の挿入歌の作編曲を行った実績がありますが、BGMを担当したのはフラッシュマンが初めてです。

超新星フラッシュマン 音楽集

コロムビア

音楽:田中公平

CX7274

1986年5月21日発売

当時価格 ¥2,500

バイオマン、チェンジマンに続き、フラッシュマンからも音楽集が発売。
発売月もこれまでより最速の5月リリースということで、放送が1クール目を終える頃には早速BGMを楽しむことができました。

ジャケットデザインはチェンジマンに引き続き、5人で必殺武器(ローリングバルカン)を構えたものですが、背後に彼らの基地であるラウンドベースを配置することで、より象徴的な仕上がりになっています。
翌年のマスクマン以降、ジャケットデザインの方向性が変わるので、フラッシュマンのジャケットが現時点での戦隊サントラの到達点だと言えるかもしれません。

また、フラッシュマンは音楽面でも魅力的な要素を持っています。
それまで、登場人物の心象や出来事に寄り添ったり、状況や空間の空気感を描いた音楽に対し、フラッシュマンの音楽は、曲それ自体がある種のキャラクター性を帯びているといっても過言ではありません。

フラッシュマンは、プリズムフラッシュで変身し、プリズム聖剣やプリズムバトンなど、プリズムで形成した武器を使います。プリズムと聞いて真っ先に追い浮かぶものは、光の屈折だと思いますが、フラッシュマンの音楽は、その光のきらめきを音で再現していると言われても納得できる独特の音色をしています。

A面6曲目に収録されている「プリズムフラッシュ!」を聴いてみましょう。

冒頭に流れるM17が変身テーマですが、キンキンと突き刺すように響く甲高い音が、四方八方から差し込む光のように瞬き、遠くで鳴るエレキギターの音に、宇宙的な空間の広さを感じさせます。

その他、合体武器ローリングバルカンのテーマであるM-19や、巨大ロボフラッシュキングの必殺技テーマであるM-27等、ここでも音で光を表現したと言える名曲が揃っており、大変聴き応えのあるアルバムだと言えます。

収録内容にも注目してみましょう。
なんと、このフラッシュマン音楽集では、はじめて主題歌インストが単体のトラックで収録されています。
前年度のチェンジマン音楽集では、複数曲で構成されたトラックの中の1曲として主題歌インストが収録されていたので、これに比べると大きな進歩だと言えます。

フラッシュマンと言えば、物語の途中で2体目のロボが登場した初めての戦隊です。
現在では、玩具を発売したい玩具メーカーの要望による側面が大きいのですが、フラッシュマンに関しては物語を盛り上げるための仕掛けとして、プロデューサーである鈴木武幸氏からバンダイに提案したと、自著である「夢を追い続ける男」で語られています。

それに呼応するかのように、サントラアルバムもフラッシュマンではじめて2枚目がリリースされました。
アニメ作品では音楽集が複数枚発売される事がほとんどでしたが、特撮番組に関しては旧作では「ウルトラセブン」が該当するものの、現行放送中の番組では初めてでした。

超新星フラッシュマン 音楽集Ⅱ

コロムビア

音楽:田中公平

CX7289

1986年10月21日発売

当時価格 ¥2,500

A面の1曲目である主題歌の次に、恐ろしく強大な曲「大帝ラー・デウス」や、ミステリアスな「暗黒のハンター、サー・カウラー」を立て続けに収録し、早々にフラッシュマンの危機的状況を物語るショッキングなアルバムです。

追加録音をメインとし、細部に第1回録音BGMを収録した構成になっています。
特に、第3話の次回予告から使用されたものの、1枚目の音楽集には収録されていなかったM-5が聴けるようになったのは大きいです。

ジャケットも、悪の首領であるラー・デウスに向かって新メカであるフラッシュタイタンが向かっていくような構図になっており、物語後半に向けて激化する戦いの予感を想像させます。

フラッシュマンと言えば、フラッシュ星で育った者が他の惑星に滞在すると肉体が拒絶反応を起こす反フラッシュ現象を発症することによって、生まれ故郷であるはずの地球に留まることができなくなり、これまでの戦隊以上に苦しい戦いを強いられることになります。

そんな彼らの、生まれ故郷に拒絶された悲劇、両親に会えない悲劇に寄り添った屈指の名曲であるM-6Aが収録された「夕日のレクイエム」が一番の聴きどころと言えるでしょう。(M-6Aは2:11から)

過去の戦隊でも番組の途中でBGMの追加録音が行われていましたが、それらを収録するためのアルバムが発売されていなかったので、物語後半の盛り上がりを音楽で体験することはできませんでした。
そのフラストレーションがフラッシュマンで解消されたのは、特撮サントラ史における歴史的な出来事ではないでしょうか?

時空戦士スピルバン(1986年4月7日~1987年3月9日放送、全44話)

メタルヒーローシリーズは、巨獣相手に巨大ロボットで立ち向かったジャスピオンから一転、再び宇宙刑事シリーズの雰囲気を受けついだ第5作目「時空戦士スピルバン」を放送。

スピルバンは、「宇宙刑事ギャバン」にはじまるコンバットスーツヒーローの集大成を目指し、スピルバン役に「宇宙刑事シャリバン」で伊賀電を演じた渡洋史氏を、スピルバンの姉ヘレン役に、「宇宙刑事シャイダー」でアニーを演じた森永奈緒美氏を、そして、悪の組織ワーラー帝国の女王パンドラ役に曽我町子氏という具合に、東映特撮ゆかりの人物をキャスティングしました。

時空戦士スピルバン 音楽集

コロムビア

音楽:渡辺宙明

CX7277

1986年6月21日発売

当時価格 ¥2,500

音楽は引き続き渡辺宙明氏が担当。
勿論、例年通り音楽集も発売されています。

切れ味が良く奥行きを感じるブラスに、サイレンのように鳴り響くストリングスが印象的で力強いメロディが豊富な、宇宙刑事三部作やジャスピオンの音楽から派生した、正統派でストレートなヒーロー音楽です。

しかし、本来の聴きどころは、離れ離れになった姉ヘレンを探し求めるスピルバンや、自分がいつ悪の戦士ヘルバイラに変身するかわからない葛藤の中でスピルバンに接触することができず、距離を置くヘレンのすれ違いを盛り上げたバラード曲です。

その関係性を強調するかのように、音楽は悲壮感を表現する曲が多く、特に第5話で一時的に身を寄せていたエンゼル牧場を後にする駅で流れたD-5’や、第29話で自らの手でダイアナを傷つける光景を記録映像で見せつけられた際に流れたD-6’など、印象的な曲を音楽集で楽しむことができます。

宇宙犯罪組織の作り出す異次元空間を音で表現した宇宙刑事三部作や、宇宙的スケールに怪獣モノの要素を踏まえたジャスピオンは良い意味で奇抜な楽曲でしたが、反面スピルバンはメタルヒーローの集大成とも言える正統派な楽曲を目指した結果、手堅さと引き換えに少々地味なアルバムになってしまった感があります。

1986年に発売したその他のサントラ

特撮ヒーロー サウンドグラフィティ Vol.1 1986年2月21日
SF特撮TV音楽全集3 怪奇大作戦/ウルトラセブン 1986年3月5日
SF特撮TV音楽全集8 仮面の忍者赤影 1986年3月5日
特撮ヒーロー サウンドグラフィティ Vol.2 1986年5月21日
SF特撮テレビ音楽全集9 ジャイアントロボ 1986年7月21日
特撮ヒーロー サウンドグラフィティ Vol.3 1986年8月21日
ゴジラ伝説(CD版) 1986年9月5日
ゴジラ伝説2(CD版) 1986年9月5日
SF特撮TV音楽全集2 マイティジャック/緊急指令10-4・10-10 1986年11月5日
SF特撮TV音楽全集5 ジャンボーグA/恐怖劇場アンバランス 1986年11月5日
特撮ヒーロー サウンドグラフィティ Vol.4 1986年11月21日

さいごに

今回も、最後まで読んでくれてありがとうございます。
面倒臭くなって途中で帰ってしまった人も、とりあえずページを開いてくれてありがとうございます。
気になるところだけ読んでくれた人もありがとうございます。

1985年~1986年は、少しずつ成長してきた特撮サントラが最初の円熟期を迎えた年だと思っています。
アニメ作品は、複数枚のアルバムリリースやアレンジ盤、オーケストラ演奏の交響組曲版に未収録編など、充実した音楽を提供していましたが、特撮は少し出遅れて、やっとファンアルバムやセカンドアルバムのリリースにこぎつけることができました。

この先、CDへの移行や総音楽集の発売・・・と言った具合に特撮サントラも大きく進化していく事になるのですが、それはまた次回以降の記事でお話したいと思います。

それではさようなら。

参考資料

VGM db
『Wikipedia』
『夢を追い続ける男』

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